タイトル | そして、バトンは渡された |
監督 | 前田哲 |
出演 | 永野芽郁 田中圭 岡田健史 石原さとみ 大森南朋 市村正親 |
公開年 | 2021年 |
タグ(ジャンル) | ドラマ |
個人的評価 | ★★★★☆ |
あらすじ
血の繋がらない親に育てられ、4回も苗字が変わった森宮優子は、わけあって料理上手な義理の父親、森宮さんと2人暮らし。今は卒業式に向けピアノを猛特訓中。将来のこと、恋のこと、友達のこと、うまくいかないことばかり…。
引用元:そして、バトンは渡された 公式サイト
一方、梨花は、何度も夫を替えながら自由奔放に生きている魔性の女。泣き虫な娘のみぃたんに目いっぱい愛情を注いで暮らしているようだったが、ある日突然、愛娘を残して姿を消してしまった。
そして、優子の元に届いた一通の手紙をきっかけに、まったく別々の物語が引き寄せられるように交差していく。「優子ちゃん、実はさ…。」森宮さんもまた優子に隠していた秘密があった。父が隠していたことは? 梨花はなぜ消えたのか? 親たちがついた〈命をかけた嘘〉〈知ってはいけない秘密〉とは一体何なのか。
2つの家族がつながり、やがて紐解かれる《命をかけた嘘と秘密》。物語がクライマックスを迎え、タイトルの本当の意味を知ったとき、極上の驚きと最大の感動がとめどなく押し寄せる──。
鑑賞後の感想
冒頭からのチープなシーンの連続、ころころと場面が変わってわかりにくい脚本、そして風変わりな設定と、序盤は失敗邦画の匂いがプンプンしていたが、あれよあれよという間に引きずり込まれ、最後まで退屈せず鑑賞してしまった。
まずはストーリーが秀逸。やや非現実的だし、首を傾げたくなる展開もあるが、よく練られた物語で、適度に視聴者に謎を与えながら一気にエンディングまで運んでいってくれる。
本来なら決して幸福な生い立ちではない主人公なのに、心優しい大人たちに囲まれ、ゲスな人間が出てこない点も、無駄に不快な思いもせずに済んだ。
途中、血が繋がっていないだけに育ての父親と本気で口論になることもなく、「喧嘩もできない」と主人公の女性が嘆くシーンがあったが、エンディング近くで初めて両者が感情的になって口喧嘩をするなど、さりげなく様々な伏線と回収もある。
中盤の卒業式のシーンでも、一瞬だけ不思議な映像が挿入されており、観ながら心の中で「今のは?」と引っかかっていたのだが、それも伏線できっちりエンディングで絡め取られてしまった。しかも感動を伴う良質な形でだ。
そして観終わってから、特に石原さとみのいくつかの演技が感慨深く思い出され、もう一度はじめから観ようかなと思える、そんな映画だった。
画面に出ている時間は多くないのに、しっかりと存在感を示す市村正親もさすがである。
冒頭で述べたとおり、オープニングの陳腐な導入部だけは頂けないが、それ以外は概ね満足のいくクオリティだ。
ご興味のある方は、一度お試し頂きたい。
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