書名 | 能面検事 |
著者 | 中山七里 |
発行年 | 2018年 |
タグ(ジャンル) | ミステリー |
個人的評価 | ★★★☆☆ |
あらすじ
大阪地検一級検事の不破俊太郎はどんな圧力にも屈せず、微塵も表情を変えないことから、陰で〈能面〉と呼ばれている。新米事務官の惣領美晴と西成ストーカー殺人事件の調べを進めるなかで、容疑者のアリバイを証明し、捜査資料が一部なくなっていることに気付いた。これが大阪府警を揺るがす一大スキャンダルに発展して──。
引用元:光文社オフィシャルサイト
読後の感想
まったく表に感情を出さず、無愛想で無表情で無口で、それでいて仕事は出来て、上司にも同僚にも部下にも一切の忖度はなく、知人にも他人にも遠慮なく辛辣な言葉で正論を説くという、まあ割りとありがちなキャラクターの検事が主人公。ただ、言う事なす事すべてが正論なので、小説として読む分には楽しい。
そして語り部として新人事務官の女性が出てくるのだが、こちらも実に好ましいキャラクターだ。いわば探偵ホームズにおけるワトスンの役割で、一人称ではないが全てこの女性事務官の視点で物語が進行する。そしてワトソン同様、主人公に振り回される役割である。
何をおいてもまずは中山七里らしい読みやすい文章が特徴だろう。それに加えて抜群のリーダビリティ。ついついページをめくる指が止まらず、どんどんと読み進めてしまう。
どのページのどの場面を読んでも、まったく退屈しない作品だ。
ケチを付けられるとすると、物語そのものが魅力に乏しく、作品自体に深みがないことだろうか。深みを求めて読む類いの小説ではないのだが、とりたてて称賛するほどのストーリーではないのも事実だ。キャラクターと会話の妙だけで、最後まで突っ切ってしまうような作品である。
読み終えた後の達成感や充足感は乏しいし、感銘を受けるようなこともないが、面白いことは間違いない。
軽い気持ちでサラッと読むには悪くないよ。
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