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【レコードプレーヤー】異音がしたので注油したら直った

 現在、愛用しているレコードプレーヤーは、Thorens の「TD320 mk3」。2年ほど前に購入し、それまで数ヶ月おきに買い替えていたレコードプレーヤーに関しては「もうこれでアガリ」と思えた逸品だ。今でもとても満足している。
 ところが最近になって、プレイ中に異音が聞こえるのに気がついた。さっさと結論を言うと、オイルを刺したら直ったのだが、一応こちらに書き残そうと思う。

モーターの異音

 異音とはいっても、その音はかなり小さい。音楽が鳴っているときは気付かないし、曲間の静かなタイミングでもプレーヤーから1~2メートル離れたら聞こえない程度の、実にかすかな音だ。
 ただし今はリスニングポジションのすぐ横にプレーヤーを置いて、音楽を愉しんでいる。レコードの裏返しなどが楽に行えるよう、この4月から配置を工夫したのだが(この辺りの事も近いうちにブログに書く予定)、それも災いして曲と曲の合間に聴こえる小さな異音が、何となく気になるようになってしまった。

 具体的には、ターンテーブルの回転にあわせて、「フサッ フサッ」と音がする。固くキツい音ではなく、柔らかいものに何かが当たるようなカンジだ。
 そこでアウタープラッターを外してみたが、相変わらず異音は収まらず。

 ベルトも外してインナープラッターも外してみたが、それでも止まず。

 プラッターがなくても音が聞こえるので、原因はモーターそのものだろうという結論に。

 厳密にはモーターにプーリーがついているので、そのプーリーの回転によって内部で何かが当たっているという可能性は捨てきれない。のだが、色々いじっても、このプーリーの取り外し方が分からない。

このプーリーとモーターの外し方が分からず

 しかたがないので、とりあえず出来る唯一の対処として、注油してみることにした。

モーターとスピンドルへ注油

 自慢じゃないが、メカには昔からめっぽう弱い。オーディオに限らず、こういう機械を開けたり弄ったりするのは、ほとんどやった事がない。
 とりあえずネットで色んなブログを読んで、タミヤの「OP-508」というメタルオイルを買ってみた。ラジコン等のベアリング、軸受け部などに使う潤滑油のようだ。 

 肝心のオイルを刺している写真を撮り忘れていて恐縮だが、はじめに少量だけ注油してみた。しかし異音は収まらず。
 なので少し多めに注油してみると、すぐに異音が止んだ。拍子抜けするほど、呆気なく治ってしまったのである。

 こんな事ならさっさと対処しておけば良かったと思いつつ、せっかくオイルを購入したので、スピンドルにも注油しておいた。これも写真は撮っていないが、綿棒で古いオイルを拭き取ってから、オイルを刺した。
 心なしか、プラッターの回転がスムーズになったような気もする。(いやこれは流石にプラシーボだが。。)

プレーヤーへの愛着が増した

 今回、注油に至るにあたって、初めてこのプレーヤーのモーターに触れた。そして原因究明の過程で、このモーターを手に持ったまま何度かプレーボタンをオンにしてみた。するとズッシリと重いモーターが予想以上に振動して、軽く驚いた。
 トーレンスのレコードプレーヤーの多くがそうであるように、我が家の「TD320 mk3」もフローティング構造になっている。プラッターとトーンアームが乗っているボードは、モーターが据え付けられているボディとは完全に別になっていて、バネでプラプカ浮いているのである。
 モーターの振動を、トーンアーム等に伝えないための構造だということは知っていたが、今回のプチメンテのお陰で、その重要性と恩恵を感じることができた。そして改めて、この機種に対する愛着が増してしまった。

 また注油に至る前に様々な記事を読み漁ったことで、このプレーヤーの機構を色々と知ることができた。
 モデル改良を経てターンテーブルの水平調整が容易になったこと、プーリーの胴部分の形状によってベルトの高さが決まること、回転スタート時はプーリー内部でクラッチ構造が働いていること、さらに中のフェルトが摩耗することでクラッチが十分に働かずベルトが外れやすくなること等。
 数十年前の技術者たちの知恵を工夫には、本当に頭が下がる思いである。

 特に最後のクラッチが働かずにベルトが外れるのは、我が家で実際に起きていることだ。だから近頃は、プレー開始時に手でテーブルを回すようにしている。
 なので今回、そのフェルトの貼り替えも考えていたのだが、前述の通りプーリーの外し方が分からず、ひとまず断念した。近いうち、もう少し調べて対処するつもりだ。

 いずれにしても、アナログ機器というのは実に面白い。実際に現物を見て、構造を説明されれば容易に理解できるので、とても親近感が湧いてくる。
 これからも「TD320 mk3」と共にアナログライフを愉しもうと感じた、今回の顛末だった。


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