長い間、憧れていたプリアンプのひとつ「McIntosh C22」を、7月末に購入した。この2月にオーディオ機器としては自身過去最高額となるサウンドパーツのパワーアンプを新調したばかりだが、半年も経たずそれを更新してしまった形だ。
ただ結論から述べると、購入したショップで買い戻してもらった。
今回はその顛末を記してみたい。
「McIntosh C22」音質について
以前から憧れていたプリアンプは3つあった。
● マッキントッシュ「C20」
● マッキントッシュ「C22」
● マランツ「Model 7」
いずれも真空管アンプだ。
今回購入したのは、このうちの「C22」。60年代に発売されたコントロールアンプで、銘機として知られるモデルである。その後、現在までに何度かレプリカバージョンも販売されたが、購入したのはあくまでオリジナルの「C22」だ。
半世紀前の機種なので、当然この間にパーツ交換なども行われているだろうと思い、届いた日に中を開けて見たら案の定、コンデンサーあたりは複数が交換されていた。恐らくオレンジドロップと呼ばれるパーツだ。オーディオアンプ用途としては、あまり音質が良くないという感想を目にしたこともあるコンデンサである。
ただ真空管はすべて、テレフンケンのもので、見た目では状態も良さそうだった。
ちなみに購入した個体は、木枠付きである。
で、実際にオーディオラックに入れて聴いてみた感想としては、変な表現になるが、予想していた以上に予想していた音だった。「たぶんC22って、こんな音が出るんだろうな」と想像していた音が、想像していた以上に顕著に出てきた印象である。
特にアコースティック楽器やコーラスなどは、芳醇な響きで実に真空管っぽい。柔らかくて艶のある音だ。
率直に言って、かなり好みの音である。
ただこれまで愛用してきた「McIntosh C32」と比べて、特筆すべき差が感じられなかったことも事実だ。
もともと「C32」もかなりお気に入りの機種である。頻繁にオーディオ機器を買い替えてきた私が、少なくともプリアンプに関しては浮気せずに5年ほど使ってきている。(途中でリモコンが使いたくてプリメインアンプを使った時期も少しあったけど。。)
そもそも「C32」だって、紛れもないヴィンテージアンプである。「C22」よりは新しく真空管でもないが、こちらも70年代に作られた往年の名機だ。音の傾向としては、大きくは変わらない。
ただやはり作品によって、向き不向きはあった。「C32」より「C22」のほうが官能的に響くLPもあれば、その逆もあった。
つまるところ「C22」に対しては好みの音で何も不満はないが、果たして「C32」を所有している身でさらに五十数万円かけて買い替えるべきアンプかと問われると、やや微妙なところではある。
看過できない不具合があって返品へ
ただし使い始めてすぐに、見過ごせない不具合に気がついた。
それは、トーンコントロールをいじった際に、ポップノイズが発生することだ。
具体的には、TREBLEをニュートラル位置から1レベル上げる際に「パンッ!」、BASSはニュートラル位置から1レベル下げる際に「ブッ!」という鋭いポップノイズが、スピーカーから出るのだ。かなり大きな音で、スピーカーを傷めないかヒヤヒヤするレベルである。
ちなみにボリュームを絞っていても関係なく、トンコンを調整すると発生する。
個人的にはイコライザーはかなり重要視している機能だ。音質劣化につながると否定的なオーディオファイルも少なくないが、部屋や自身の好み、さらには音源にも合わせてイコライザーを駆使するのはアリだと思っている。
そんな私にとってTREBLE/BASSを調整する度にスピーカーの心配をするのは、かなりのストレスになる。
なのですぐに購入したショップへ連絡して返送し、改めて調べて貰うことに。
ところが返ってきた結果は、
「これくらいは仕様」
「ヴィンテージ・モデルは他の機器との相性もあるので不良にはあたらない」
との冷たい返事。
いやいや、「他の機器との相性とか言い始めたら、何でもOKになるやん! お前んとこの6ヶ月製品保証なんて意味ないやんけ」と思ってしまうが、まぁそういうショップなのだろう。
これまで利用したことのないオーディオ店で、でも割と有名なショップなのであまり心配せずに注文を入れたが、残念ながら今回は納得のいく対応はして貰えず、頑なにこちらの主張を退けられてしまった。
ただこのショップは「買取保証」という制度を設けていて、購入後3ヶ月以内なら購入金額の9割の値で買い戻してくれる。
「C22」は1ヶ月ほど使ってみたものの、やはりスピーカーを傷めるのではないかと心配になるポップノイズをスルーすることは出来ず、結局はこの「買取保証」を使って売却することにした。
9割とはいっても、ほんの1ヶ月ちょっと使って5万円以上の出費になる。返送する送料などを含めると、およそ6万円だ。
「勉強代」と言うにはあまりにも高額である。憧れの「C22」を我が家で試せたということで、無理にでも自分を納得させるしかないが。
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