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【セレッソ】 vs ガンバ大阪(2023年J1リーグ第31節)

 今日のセレッソ大阪は、ホームでガンバ大阪と対戦。
 スタメンは下記公式X(旧:Twitter)の通り。前節からは奥埜に代わって、柴山がスタメンに起用されている。

 直近4試合未勝利、かつ無得点というセレッソ。対するガンバもリーグ戦6試合勝ちなしいう、低調なチーム同士のダービーとなったが、前半の早い時間帯にセレッソが先制点をもぎとり、1-0で逃げ切りに成功している。

C大阪 1-0 G大阪

 前半は完全にセレッソのゲームだった。前節と同じく4-3-3でのスタートで、アンカーの香川とIHの上門と柴山が良い距離感を保ち、前の外人3人と共に中盤から前を制圧。さらに集中力、寄せの速さ、連携の精度、セカンドボールの回収など、すべての要素でガンバを上回り、前半はほぼワンサイドゲームだったといえる。
 前半6分には早くも、GKキム・ジンヒョンのロングフィードを左奥で受けたSB舩木が中へクロスを入れるチャンス。ここはPA内でMFカピシャーがゴールを狙うもブロックされたが、ジンヒョンのキックの精度が光ったシーンだった。

 そして先制はその直後。中盤でボールを受けたMFカピシャーバが力強いターンで相手をかわして、裏のスペースへスルーパス。これにFWレオ・セアラが反応し、落ち着いてGK東口の脇を抜くゴールだった。

 先制後もセレッソは、何度も好機を作る。
 10分には、左サイド奥でパスを受けたカピシャーバが、ガンバMFネタ・ラヴィを瞬殺で交わしてボックス内からマイナス方向へ浮き球クロス。中のレオ・セアラには合わなかったが、タイミング次第では追加点という場面だった。
 また14分には、柴山が得意のドリブルでボックス内まで持ち込み、左足シュート。25分には上門のミドルシュートと、リズム良くフィニッシュまで持ち込むセレッソ。
 37分には、右サイドからクルークスの入れたクロスに、カピシャーバが上手く頭で逸らせたが、惜しくも僅かに枠外というシーンもあった。
 しかし追加点は奪えないまま前半終了。出来ればもう1点は欲しかった内容だった。

 そして後半、ガンバは二人交代し、さらに倉田と宇佐美のポジションを変えるといったテコ入れがあり、セレッソは前半と違って圧を受ける展開。後半早々にクルークスがシュート放った後は、しばらくガンバがボールを支配する時間帯が続いた。
 セレッソの攻撃といえば、61分に上門が再びミドルシュート。そして何よりその直後に、右奥のスペースに流れてボールを受けたレオ・セアラが、中へクロスを入れたシーンは惜しかった。レオ・セアラのグラウンダーのクロスにSB毎熊が走り込んだものの、すぐニアでCB三浦がクリアーして追加点ならずだったが、後半では一番のチャンスだったと思う。

 その後セレッソは71分に、柴山に代えて奥埜がピッチへ。さらに75分にはカピシャーバが太ももを痛めた様子で、進藤と交代。
 ここからは5バックで残り15分強を逃げ切るプランとなった。

 ヨニッチ、鳥海、進藤の3CBを入れた5-4-1は流石に強固で、ここからはガンバの攻撃を受けるというよりはボールを持たせる内容だった。
 ガンバは後ろでボールを回して攻めあぐねる時間が多く、セレッソにとって最大のピンチは後半アディショナルタイムのFWイッサム・ジェバリが放ったシュートだった。バイタル横からゴールのサイドネットに突き刺さる美しい軌道のシュートだったが、ここはGKキム・ジンヒョンが横っ飛びで弾く好プレー。
 セレッソも負け試合でよくある事だが、こういうシュートはどんどん前半から打てば良いのにと、相手チームながら思ってしまった場面であった。

 そしてこの場面の後にすぐ試合終了のホイッスル。前半の1点を守りきったセレッソが、大阪ダービー2年連続シーズンダブルとなる勝利を飾った。

 試合の感想としては、あまり両チームとも戦術的なゲームではなかったなという印象。ガンバのポヤトス監督が何を狙っていたのか今ひとつ分からなかったし、事実ほとんど再現性のあるプレーは見られなかった。
 それはセレッソも似たりよったりだ。ただセレッソのほうがチームとしての練度が高かったのは間違いなく、選手たちは一定の規律に従って動いていた。柴山と上門は比較的リーダムに動いていたが、それも織り込み済みだったと思う。実際、前半に柴山がアンカーに降りて香川が前目にポジションをとった場面があったが、チームとしての連携に影響はなかった。
 そしてその上でセレッソは、各選手の長所を活かすプレーが出来たといえる。逆にガンバは長所が消えた形になったのだろう。それが試合結果となって現れたのだと思う。

 いずれにしても5試合ぶりに勝ち点3を掴んだセレッソ。事実上の消化試合とはいえ、ダービーでの勝利は格別の味である。
 昨季、ガンバが降格しなかったことに感謝したくなる一日となった。

選手採点(セレッソのみ)

GK
キム・ジンヒョン 6.5
終始、安定したプレーを見せ、何よりも本文で触れた試合終了間際のセービングは、チームを救う決定的な仕事だった。ヤン・ハンビンがゴールを守っていたときは、ジンヒョンが戻ってきても彼がスタメンに入れないのではとも考えていたが、やはり今日のプレーを観るとそうとも言えないか。実に贅沢で幸運である。

DF
毎熊 晟矢 6.5
随所で存在感を示し、結果は残せていないものの、A代表としての実力を遺憾なく発揮。スタンドにいた名波氏にも良いアピールが出来たのでは。

ヨニッチ 6.5
気迫のこもったプレーと、適切なカバーリングが光った。最後まで集中力を切らさず、ボールを跳ね返し続けた。

鳥海 晃司 6.5
ヨニッチとともに、ほぼノーミスで90分を終えた。セレッソに来た後しばらくは、1試合に1度は不用意なプレーでピンチを招いていたが、本当に安定したディフェンス力を見せてくれるようになった。瀬古のときも感じたが、ヨニッチが良い手本になったとも思える。

舩木 翔 6.0
他のプレーヤーに比べると物足りなさもあるが、彼も集中を切らす悪癖がなくなり、成長の跡が感じられる。あとはもう1ランク上がれるような何かしらの武器が掴めれば、不動のSBとして定位置を確保できるはずだが。

MF
ジョルディ・クルークス 6.0
途中交代の多い彼だが、今日はフルタイムでプレー。得点やアシストはなかったが、十分に相手の脅威になっていた。

柴山 昌也 6.0 (71分 OUT)
予想外のスタメン起用。かなり仕込まれたようで、ある程度は自由に動きながらも、迷子になるような場面はなかった。特に前半は得意のドリブルとフリーなポジショニングで、ガンバに混乱を与えていた。上位チームに対しても今日くらい躍動できれば、継続してJ1スタメンを飾ってもおかしくない。

香川 真司 6.5 (84分 OUT)
前半なぜかガンバが彼をフリーにしていたので、好き放題にボールに絡んでチームの指揮を執っていた。前節も守備の面からはアンカー起用に不安を覚えたが、少なくとも今節に限っては杞憂に終わった。

上門 知樹 6.0 (84分 OUT)
ミドルシュート以外のシーンはあまり目立たなかったが、気の利いたポジショニングは見事だった。こういうプレーも出来るのかと、ちょっと驚いた。思っていた以上に器用な選手のようだ。

カピシャーバ 6.5 (75分 OUT)
やはりサイドでの突破力は魅力的で、加えて力強く泥臭いプレーも厭わない献身性。今日も唯一の得点をお膳立てした。

FW
レオ・セアラ 7.0
前線で身体を張り続け、試合終了間際は脚が限界で満足に走れない様子だったが、それでもボールが来れば足を引きずって駆けていた。彼にとってもJリーグに来てからのシーズン最多得点をマーク。セレッソに移籍したのは正解だったと思ってくれることを願ってやまない。

交代出場
奥埜 博亮 5.5 (71分 IN)
本調子には程遠いという印象。前節も感じたが、離脱前の粘りや巧みな体の使い方、試合勘のようなものが、明らかに低下している。徐々に以前の彼に近づいてくれることを望みたい。

進藤 亮佑 5.5 (75分 IN)
逃げ切るためにピッチに送られたのであり、特筆すべきプレーはなかったが、求められるタスクをきっちりこなした。

新井 晴樹 ー (84分 IN)
出場時間が短く採点なし。

鈴木 徳真 ー (84分 IN)
出場時間が短く採点なし。

監督
小菊 昭雄 6.5
ロティーナの元で何を学んだのかと小言を述べたくなる内容ではあるが、選手の特性を活かしながら規律だけは仕込んで4-3-3というのが、現時点での彼のフットボールなのだろう。それで勝てるのであれば、もちろん文句はない。いずれにしても大阪ダービーに対して無類の強さを誇っていることは事実である。


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