かなり時間が経ってしまったが、夏休みの間に Mobile Fidelity Sound Lab の「KIND OF BLUE」(マイルス・デイビス)を購入したので、改めてご紹介したい。
KIND OF BLUE/MILES DAVIS
アーティスト | Miles Davis |
タイトル | Kind of Blue |
カタログNo. | MFSL 2-45011 |
プレス国 | アメリカ |
作品自体は言うまでもなく、ジャズ史上でも最重要作の1つである大名盤。恐らくジャズ作品としては最大のセールスを誇っているこの傑作を、高音質(かつ高額)で知られる Mobile Fidelity Sound Lab が45回転2LPとして再発したのが、このボックスセットである。
で、実際に聴いた感想としては、さすがの音である。45回転らしく、かなり細かい音まで拾っていて、各楽器のプレイがよく聴こえる。分離も見通しも良い。
マスターテープに封じ込められた音を可能な限り、ほじくり拾い起こしたような印象だ。
ただ、色々と聴こえ過ぎて、今ひとつ惹き込まれないというのが率直なところ。各楽器がバラバラに聴こえるというか、あちこちで好き勝手に演奏しているのを1つまとめたかのように、耳に届くのである。音楽としての一体感が乏しいのだ。
そこで、もともと所有していた廉価版のLPと聴き比べてみた。
写真向かって左が、今回購入した高音質のMFSL盤。右が廉価盤で、Not Now Music というレーベルのもの。ジャケットからしてチープだ。
ただこの廉価版は、意外と音が良くて気に入っている。数年前にAmazonで、2千円くらいで購入したLPである。
で、実際にこの両者を聴き比べてみると、確実に音質はMFSL盤の方が優れているのだが、聴いていて楽しいのは、廉価盤の方だ。
この辺りは好みが左右するので、あくまでも個人的な感想にしかならないが、廉価盤のほうが音と演奏に一体感があって、出てくる「音楽」に感動を覚える。
MFSL盤は、ありがちな意見になるが、ちょっと分析的で、音楽としての魅力が損なわれているような感じだ。
どちらを無人島に持って行くかと問われたら、迷いつつも廉価盤のほうを選ぶと思う。
ということで今回の購入は少し残念な結果に終わってしまったが、とはいえMFSL盤はさすがの音質だったし、いつかは聴いてみたいと思っていたので、特に後悔はない。
これはこれで、たまに聴きたくなる盤ではある。
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