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【セレッソ】 vs ヴィッセル神戸(2022年J1リーグ第8節)

 

 今日のセレッソ大阪は、アウェイでヴィッセル神戸と対戦。
 今季これまでリーグ戦で勝利がなく、降格圏に沈むヴィッセルはつい先日、2019〜20年にセレッソを率いた智将ロティーナを監督に迎えると発表。今日のセレッソ戦が、ロティーナ・ヴィッセルの初戦となった。なかなかドラマティックな展開である。
 セレッソのスタメンは下記の公式Twitter の通り。前節と比べ、左サイドが乾に代わって為田が入っている。
 ちなみに乾は前節の柏レイソル戦での交代時の態度が問題視され、クラブから謹慎処分を受けていると、試合後に報道があった。

ヴィッセル神戸 0-1 C大阪

 セレッソは前々節からずっと変わらず、前線からプレスを掛けて相手のビルドアップを阻止し、ボールを奪えばそのまま縦に人数を掛ける内容。
 これがもう今季のセレッソのフットボールなのだろう。相手チームによって若干の微調整はあるだろうが、この路線の精度を上げていくつもりのようだ。
 実際のところ、これはこれで少なくともJリーグではある程度、有効な戦術ではある。今日もヴィッセル相手にボールを追いかけ回し、立ち上がりからペースを握って、開始1分には早くも決定機を作れている。

 対するヴィッセル神戸は、最前線にFW大迫がいるものの、あくまでも後方からボールをつないでくる。
 セレッソからすると、前節に対戦した柏レイソルのように、セレッソのプレスを剥がせなければ割り切ってロングボールを蹴られたほうが嫌なのだが、神戸はかたくなにビルドアップの形を変えなかった。

 こうなるとセレッソとしては、概ね気持ちよくプレーができる。ハードワークは必要だが、やることが決まっていて、それが一定の効果を挙げていれば、こちらのペースで試合が進むことになる。
 そして先制に成功したのは26分。左サイドのタッチライン際でCB西尾からボールを受けたSB山中が、ほとんど前へ運ばずその位置からアーリークロス。
 これがゴール前へ走り込んだFW加藤の頭上へドンピシャリで落ちてきて、ヘディングシュートを決めての先制点だった。
 あの位置からピンポイントでFW加藤の走り込むスペースへ落ちていくボールを入れられる山中は、知ってはいたがやはり恐ろしいキックの精度の持ち主である。
 そしてゴール隅へボールを飛ばしたFW加藤のヘディングも、ゴールから少し距離があるので簡単ではなかったはずだが、上手くコントロールした素晴らしいシュートだった。

 こうして前半はセレッソのペースで終了。出来ればもう1点は欲しい内容であった。

 しかし後半、ヴィッセルはイニエスタをベンチに下げて、MF中坂を投入。
 この中坂が攻撃時に常にボールの近くに位置取り、また最後尾からのビルドアップの場面ではMF扇原がCB間に落ちてリズムを作るなど、セレッソにとってはボールを奪いづらい展開となった。

 特に後半の後半では、圧倒的にヴィッセルがボールを保持。セレッソは1点リードしているため、無理なプレスは控えてボールを持たせていた要素もなくはないだろうが、奪いたくても奪えないという状況もあったと思う。
 もちろんリードしている以上、それならそれでやりようはある。ロティーナ時代にも、そしてその前のユン・ジョンファン時代にも何度も実践した、守り切るという選択肢である。
 後半のヴィッセルは頻繁にサイドチェンジを狙い、またそのスピードも早かったが、セレッソもハードワークで対応。アディショナルタイムには、サイドからのクロスにPA内で神戸DF菊池流帆にヘディングシュートを許したが、ポストに救われる幸運もあった。
 一番の不安要素は、負傷退場した山中の代わりに左SBに入った舩木の部分だったが、何度かピンチを迎えながらも原川や奥埜のフォローもあって、試合終了まで守り切ることに成功した。

 今季、J1リーグでは上位に入る総得点数を挙げているセレッソだが、今節は1点止まり。しかし同時に、無失点で試合を終えたリーグ戦は、今日が初めてでもある。
 どんな形でも、勝ち点3を取るのが最大の目的だ。誰がなんと言おうと、内容よりも結果である。
 終盤、攻められ続けるセレッソを眺めながら、逆にチームとしてのクオリティが上がってきたかなと、珍しくポジティブな感想を持って終えられた一戦だった。
 そしてヴィッセルは、直近5試合で4敗と、かなり深刻な状況である。あの選手層でロティーナを迎えたからには、降格はないとは思うが、他チームとはいえ少し複雑な心境である。

選手採点(セレッソのみ)

GK
キム・ジンヒョン 6.5
何度かあったヴィッセルのコーナーキックにも、落ち着いて対応。彼の名前を間違えて選手紹介をした神戸のスタジアムMCはモグリだろう。

DF
松田 陸 5.5
攻撃では物足りず、守備でも何度か突破を許した。前半43分には、相手GKの胸元へボールをプレゼントする精度の低いクロスを放つなど、勝利に貢献はしたが印象の良くない場面が散見された。

西尾 隆矢 6.5
ヨニッチが一定以上のタスクを負ってくれるからか、彼のパフォーマンスも引っ張られるように底上げ。この成功体験を成長の糧として欲しい。

マテイ・ヨニッチ 7.0
90分の間、神戸FW大迫を封じながら、ひたすらヴィッセルのクロスを跳ね返し続けた。一昨年までも何度も感じたが、クロスの飛んでくるところに彼が位置取りしているのではなく、ボールが彼の頭に向かって飛んでくるような感覚だ。とにかく凄い。個人的には今日のMOMは加藤でも山中でもなく、ヨニッチである。

山中 亮輔 6.5 (39分OUT)
今日、両チームで唯一の得点を演出したクロスは、いやホント凄かった。あのシーンでボールを運ぶのではなく、すぐにクロスを入れる判断も素晴らしい。しかもピンポイントで。相手からしたら、あんなに少ない手数で得点されると、どっと疲労感が貯まるのではないだろうか。

MF
中原 輝 5.5
少し厳し目の採点。存在感が希薄だったとまでは言わないが、今ひとつ効いていなかった。1試合の中で1度か2度、相手の左サイドをズタズタにするようなプレーが欲しい。

奥埜 博亮 6.5
完全に本調子に戻っている。イニエスタを何度も消し、セカンドボールを拾いまくり、神戸のカウンターの芽を摘み、味方選手と絶妙な距離感を保ってボールを動かす。ロティーナに重宝された彼が、その理由をロティーナの前で見せつけた90分間となった。

原川 力 6.5
良い意味で奥埜とはまた違う持ち味があるので、うまく噛み合えば相手に与える圧は相当なものだろう。左サイドの使い方も申し分ない。

為田 大貴 6.0 (61分OUT)
神戸の右サイドに脅威を与え、守備にもかなり奔走していた。十分にスタメンとしての役割を果たしたといえる。あとは得点力だけ。前半19分に、GKジンヒョンのゴールキックのボールを受けて、神戸PA内まで運んでシュートを放ったシーンは彼の真骨頂だと思うが、出来れば決めきる場面を観たい。

FW
加藤陸次樹 7.0 (61分OUT)
今季リーグ戦の初ゴールが値千金の決勝点。小菊セレッソでは守備のタスクも多いが、しっかりこなしてピッチを後にした。

山田 寛人 5.5 (61分OUT)
物足りなさしか残らなかった。今が彼の成長する時ではないかと勝手に思っているので、どうにか結果を残して上のレベルに登って行って欲しい。

交代出場
舩木 翔  4.5 (39分IN)
山中の不良によりスクランブル出場。厳しい言い方になるが、この交代によってセレッソのストロングポイントがウィークポイントになってしまった。もう数年前から、彼はチャンスを貰うたびにそれを逃していると感じるが、どうなのだろうか。オフ・ザ・ボールでの準備の無さ、棒立ちの姿も、いつも気になってしまう。

ジェアン・パトリッキ 6.0 (61分IN)
前節ほどではなかったが、ピッチにいれば必ず少なくない回数のチャンスに絡む。こういうゴリゴリでスピードもあるサイドアタッカーが試合途中から入ってくるのは、相手チームにしたらかなり嫌なはずである。

ブルーノ・メンデス 5.0 (61分IN)
今季、彼らしい躍動感が欠けていると思えるのだが、コンディションが万全ではないのだろうか。ボールが収まるのもサイドに流れたケースがほとんどであり、もっと相手を背負った場面での存在感を期待したい。

北野 颯太  5.0 (61分IN)
少なからずあった好機はいずれも決められず。そろそろ安定した結果が欲しい。

清武 弘嗣 ー (81分IN)
出場時間が短く採点なし。

監督
小菊 昭雄 6.0
かつての師、ロティーナとイバン相手にしっかりと勝利をもぎとった。引き出しは少ないが、彼の目指すサッカーは、しっかりと選手たちに落とし込まれているとは思う。

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