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【セレッソ】 vs サガン鳥栖(2022年J1リーグ第29節)

 リーグ戦2連敗に続き、三日前の天皇杯準々決勝でもサンフレッチェ広島に逆転負けを喫し、公式戦3連敗中のセレッソ大阪。しかも直近2試合は先制しながらも、試合終了が迫った85分を過ぎてから2失点しての逆転負けと、絶不調ともいえる状況だ。
 そんな中で迎えた今日の試合は、ホームでサガン鳥栖との対戦。
 スタメンは下記公式Twitterの通り、先日の天皇杯準々決勝とまったく同じ顔ぶれ。中二日ながら、小菊監督としても計算と信頼を抱いての選抜だろうと思う。

 ゲームは、直近2試合と同じくセレッソが先制し、しかし終盤に追いつかれながら、後半アディショナルタイムに追加点をマークし、公式戦4試合ぶりの勝利で終わっている。

C大阪 2-1 サガン鳥栖

 セレッソのフォーメーションはいつも通り 4-4-2。サガン鳥栖は3バックと予想していたが、4バックでのスタートだった。
 ただ、鳥栖のスタイルは普段と変わらず。ハイプレスとハイラインを敷いて、GK朴一圭もかなり高い位置をとってビルドアップに加わる形だ。ボールホルダーに対するチェックも素早く、ファールが多いのもいつも通り。

 鳥栖のプレスが速いので、どうしても前後にボールが動く試合になりやすいが、前半は両チームとも、それほど多くのシュートは打てなかった。
 セレッソでいえば、20分にMF毎熊が裏に抜け出して鳥栖ゴールネットを揺らしたが、これは惜しくもオフサイド。
 対する鳥栖も25分のコーナーキックで、DFジエゴが頭で合わせたが枠外。ここはほぼフリーでヘディングされており、セレッソにとってはかなり危険な場面だった。
 さらにその直後、FWアダム・タガートが鳥栖PAすぐ外でMF為田からパスを受け、コントロール・ショットを放つも、GK朴一圭がファインセーブ。

 しかしその後、30分を過ぎた辺りからサガン鳥栖の連携に少し乱れが見え始め、セレッソとしてはこの隙に先制点をもぎ取りたかったが、両チームスコアレスのまま前半は終了。
 鳥栖のハイプレスは確かに効いていたが、その代わりハイラインの裏のスペースをセレッソも上手く狙えており、緊張感のある前半ではあった。特に鳥栖はGKがDFラインに加わることで、サイドで一人フリーの選手が生まれやすく、4バックのセレッソとしては分が悪いながらも、巧みに防いだといえるのかもしれない。
 またサガン鳥栖はボール失った際に、ファール覚悟でセレッソのカウンターの芽を摘んで来るので、個人的には少しモヤモヤしながら観戦していた。

 そして後半。サガン鳥栖は3バックでスタート。
 しかしなぜかこれで鳥栖の連携がズレ、マークが外れるといった事象が散発。このため後半スタート直後はしばらくの間、セレッソが攻勢に出ていた。

 まずは47分、バイタルエリアでFW加藤が後ろからのボールを収め、最後はMF毎熊がPA内から右足を振り抜くも、揺らしたのはニアのサイドネット外。ニアの枠外というのは何も起こらず終わってしまうので、ここはせめて枠には飛ばして欲しかったシーンだった。
 その直後にも、MF為田が左サイドを突破してクロスを入れるが、走り込んだFWアダム・タガートも枠には飛ばせず。
 さらに50分にも、DF松田からのロングボールを裏に抜け出したFWアダム・タガートが収めてシュートを放つも、ミートは出来ずGK朴一圭が難なくキャッチ。

 しかし51分、セレッソのコーナーキックの場面で、一度はクリアーされたボールを、MF鈴木徳真がダイレクトでミドルシュート。これがドライブがかってクロスバーの下を叩きながらゴールに吸い込まれるゴラッソとなって、セレッソが先制する。
 言うなればスーパードライブボレーシュートとでも呼べる、今節のJ1ベストゴールを予感させる素晴らしいゴールだった。

 先制後のセレッソは縦にコンパクトさを保ちながら、それでも何度も好機をつくった。
 63分に左サイドから為田の上げたクロスにFWアダム・タガートがゴール前へ走り込んだシーンは、ボールが高すぎてチャンスを逸したが、クロスの精度が高ければタイミング的に決定機になっていたはずだ。
 72分にも同じように左サイド為田が抜け出て中央のFWアダム・タガートへクロスを入れたが、ここはニアで鳥栖DF田代に防がれている。
 さらに74分にも、途中出場のMF清武のパスにFWアダム・タガートが裏へ抜け出たが、ここもDF田代にブロックされてしまった。

 すると81分、左サイドを突破され、最後は鳥栖MF本田風智に決められて、ゲームは振り出しに。
 この失点シーンは、サイドライン際でボールを受けた鳥栖MF長沼に寄せたSB舩木翔が、あっという間に交わされて縦に抜かれてしまたのが発端である。
 恐らく小菊監督としては守備力にやや不安のあるSB山中の穴を埋めるべく、終盤に舩木と交代させたのだと思うが、その舩木が割と簡単に突破されるのだから頭を抱えるしかない。80分に交代でピッチに入ったDFが、スタメン出場している相手選手にこうも易々と抜かれては勝てる試合も勝てない。
 そう思ったが、今日の試合は勝てた。
 後半アディショナルタイムに、PA外右から途中出場MF清武が入れたクロスを、やはり途中出場のMFジェアン・パトリッキがファーサイドで頭で押し込む、劇的ゴールだった。(パトリッキのヘディングは、実際には頭の後で自分の太ももに当たってゴールに吸い込まれたようだが)

 こうしてセレッソが追加点をマークしたことで、2試合連続逆転負けという嫌な流れを断ち切る勝利を掴んだ。
 特にラスト30分で投入されたMF清武は、ピッチ上でひとり別格のプレーを見せ、疑いようのないポテンシャルの高さを再確認させてくれた。
 すてに天皇杯は敗退してしまったが、残るルヴァン杯タイトルを目指しつつ、ACL出場を狙って行って欲しい。

選手採点(セレッソのみ)

GK
キム・ジンヒョン 6.0
失点シーンはノーチャンス。ビッグセーブのようなものはなかったが、クオリティの高いキックでビルドアップの起点となっていた。

DF
松田 陸 5.5
パトリッキによる決勝点の直前(91分)、鳥栖PA内で清武からのクロスを左脚でふかしてしまった決定機逸は、あまりに勿体ない。

鳥海 晃司 6.0
良い意味で、特に大きな存在感を示さなかった90分だった。今のセレッソは最終ラインからのビルドアップの精度が求められるが、西尾ではなく彼がスタメンに抜擢されるのは、足元の技術によるのかもしれない。

ヨニッチ 6.0
何度も鳥栖のハイボールを跳ね返し続け、失点シーンも彼の対応に非はなかった。58分のコーナーキックの場面でのヘディングは、枠に飛ばしたかった。

山中 亮輔 5.5
期待のクロスの精度が、今日は今ひとつだった。ただクロス以外ではタイミングの良いオーバーラップや、粘りのある守備を見せてくれた。

MF
毎熊 晟矢 5.5 (86OUT)
失点シーンでクロスを上げた鳥栖DFジエゴに付ききれなかったのは痛恨。またトラップが大きくなってボールを失うなど、少し残念なプレーも散見された。

奥埜 博亮 6.0
いつも通りの奥埜。優れたキープ力と抜群のポジショニングで、何度もチームを助けた。

鈴木 徳真 7.0
スーペルゴラッソは触れるまでもないが、それ以外でも味方ボールホルダーと常に絶妙な距離感を保ち、ビルドアップに多大な貢献をしていた。

為田 大貴 6.0 (86OUT)
彼はいつも良いプレーと残念なプレーの両方がいくつもあって、評価が難しい。それだけ存在感があり、チャンスにも絡んでいるということだが、今日のクロスの精度は低いと言わざるを得なかった。ただ同時にそれを上回るランニングやチャンスメイクもあり、少なくとも及第点以上のパフォーマンスだったと思う。

FW
加藤 陸次樹  5.5 (62分OUT)
プレスバックで後ろを助けたが、それ以外では降りてきてボールに触る場面が多く、大きな働きはできなかった。

アダム・タガート 6.0 (86分OUT)
前線で起点になれるし、プレスも献身的だった。幾度か好機を逃したものの、彼の望むボールが来ていれば恐らく決めていただろうなと思えるゴール前への走り込みも何度かあり、FWとしてのセンスが感じられる内容だった。

交代出場
清武 弘嗣 6.5 (62分IN)
パトリッキの劇的ゴールをアシストしただけでなく、視野の広さやキックの精度など、感嘆させられるプレーの連続だった。

舩木 翔 4.0 (80分IN)
本文で述べた通り、あの時間に出てきてあの軽さはない。昨季までの彼に戻ってしまったようだ。その後のプレーも消極的だった。

中原 輝 ー (86分IN)
出場時間が短く採点なし。

ブルーノ・メンデス ー (86分IN)
出場時間が短く採点なし。

ジェアン・パトリッキ ー (86分IN)
出場時間が15分に満たない選手は採点しないことにしているが、感無量の決勝点には深く感謝したい。

監督
小菊 昭雄 5.5
連敗は3で止めた。そして久しぶりの複数得点。以前より得点力が下がってしまった原因は、目処がついているのだろうか。そして失点シーンでのディフェンスの軽さも、気になるところではある。

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