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【プリアンプ】McIntosh『C41』レビュー

 

 もう半年ほど前になるが、春先にプリアンプを購入した。McIntosh の『C41』だ。
 実はすでに売り払って、もう手元にはないのだが、当時このブログ用に下書きだけしてアップするのを忘れていたので、今になって投稿だけさせて頂きたいと思う。

購入した理由

 それまで使っていたのは、同じマッキントッシュの『C32』というコントロールアンプ。いわゆるヴィンテージと呼ばれるモデルで、40年以上前の製品だ。
 およそ3年ほど前に同じマッキントッシュのパワーアンプ『MC2155』と一緒に購入し、愛用を続けているアンプである。
 このセパレートアンプを購入したからというもの、本当に音楽を聴くのが楽しくなったし、好みの音に出会えた幸福感に満ちていた。音に関して何も不満がない。これはオーディオ・ファンにとってはこの上ない幸せだろう。

 ではなぜ半年前に別のプリアンプを買ったのかというと、たった1つだけ、我慢しきれなくなった要素があったからだ。
 それは、リモコンがない事である。

 ヴィンテージの『C32』は、オーディオ機器にリモコンなんて存在しない時代の製品だ。
 もちろんそれは承知の上で、3年前に購入している。
 ただその後、リモコンがない事にどうにも不便さを感じていた。
 欲しいのは音量の調節だけである。それさえ手元で操作できれば、何も不満はなかった。
 思い返せば、若い頃から割とボリュームをこまめに調節する聴き方をしてきた。同じ曲の中でも、クライマックスに入る辺りで音量を1つ上げるといったことも頻繁に行っていた。またあまり好きではない曲は音量を下げて、好きな曲になったらまた上げるといったことも日常的だった。

 そうしたリスニング方法を学生の頃から行ってきた身からすると、どうにもリモコンがないのは不便極まりない。わざわざプリアンプまで近寄ってツマミを回すのも面倒だし、何より興が削がれる。
 ふだん聴いているのがCDであれば、プレーヤー側のリモコンに音量ボタンが付いている場合もあるが、自宅で聴くメディアは98%くらいはアナログ・レコードである。こっちにもリモコンなんて無い。

 こうした環境にどんどん耐えきれなくなって、ついに半年前に、リモコン付きのプリアンプを買おうと考えてしまった次第である。

McIntosh『C41』を選んだ経緯

 という訳で、リモコン付きの McIntosh製アンプを探し始めた。マッキン以外はまったく候補に入れなかった。
 新品はとても手が届かないので、主に中古市場だ。さらにリモコン付きのモデルとなると、あまり選択肢はない。

 しばらくしてオーディオ専門店で、『C41』というモデルを見つけた。2000年ごろに発売された製品のようである。どうやら先に『C42』という、当時のフラッグシップといって良いモデルが世に出され、後に廉価版として『C41』がリリースされたようだ。中古市場でも、かなりの価格差がある。
 ただし上級モデルである『C42』はサイズ的に、かなり奥行きがある。我が家のラックには、残念ながら収まりきらない。
 という事で単純にスペースの問題で、『C41』をチョイスした。

 プリメインもいくつか候補に入れたが、買いやすい価格帯のものはマッキンの特徴でもあるオートフォーマーが付いていないなど、音が大きく好みから遠ざかる危険性があった。
 そもそもプリメインアンプもかなり奥行きサイズがあるので、パワーアンプは従来の『MC2155』を使用し、プリアンプのみ『C41』に買い換える決断を下した次第である。

McIntosh『C41』レビュー

上段が『C41』、下段が『MC2155』

 3年前に購入した『C32』より『C41』のほうが、サイズはひと回り大きい。しかし重量は前者のほうが上だ。
 また『C32』には付いていた5バンド・イコライザーが、『C41』では 「TREBLE」 と 「BASS」 に簡略化されている。『C32』のイコライザーは非常に優秀で、またRIAAカーブではないと思われるLPレコードをかける際にも重宝するので、これは実に残念だった。
 ただ勿論これらのことは買う前から調査済みだ。それを承知の上で購入した。
 そして実際に買ってみて、リモコンで音量調節できるのは本当に便利だと、当時2年半ぶりに痛感した。無いよりは有ったほうが絶対に良い。当たり前だ。

 ただ音に関しては、やはりヴィンテージのサウンドからは遠ざかってしまった。
 これは予想できたことなので賭けでもあったが、残念ながら懸念は的中した。それまでの『C32』にあった濃密さ、濃厚さ、コクの深さといった要素が、微妙ながらも確実に薄れてしまったのである。
 ある意味では現代的な音になったともいえた。現代の作品を聴くには、SN比が高くて分離がよく、スッキリしたサウンドで悪くないのかもしれない。
 しかし私のような、50〜60年代ジャズや70年代ロックばかりを聴く人間にとっては、ヴィンテージ・マッキンの音のほうが好みだ。はじめから解像度の高さや分離の良さなんて、求めてないのである。

 『C41』に不満がなければ、『C32』は売り払う予定だったが、そうもいかなくなってしまった。
 これが半年ほど前のことである。

 その後しばらく『C41』を使っていたが、好みの音を鳴らしてくれる『C32』があるのに、我慢して好みではないサウンドを聴き続けるのは精神衛生的にも健全ではなく、結局は元の鞘に戻してしまった。
 つまり、『C32』+『MC2155』というコンビだ。音は間違いなく、こちらのほうが琴線に触れる。

 そして買って間もない『C41』は売り払ってしまった。購入金額より数万円下がった買取額で、完全に無駄な出費となってしまった。
 本当に困ったものだ。
 それにしても、いつまで経ってもオーディオは終わらないな。なんと素晴らしい趣味だろうか。


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  1. みち より:

    はじめまして。
    今から10年以上前になりますが、通ってるオーディオ店でC29&MC2155の組み合わせでJBL S9800を聴かせてもらいましたが、艶があって素晴らしいサウンドだったのを今でも覚えています。
    逆にマークレビンソンの総額数百万のアンプとS9800では、現代風なサウンドでいまいちピンとしなかったです。ソースはスティービー・ワンダーでした。
    古い曲にはヴィンテージアンプの方が似合うと実感しました。

    • ヨリヨリ ヨリヨリ より:

      こんにちは。
      マークレビンソンなんで、高嶺の花すぎて購入を検討したこともありませんし、ショップで試聴すらしたことすらありません(笑)
      スゲー音なんだろうなと思う反面、勝手な想像ですがフラットで見通しの良い凛としたサウンドなのかなと妄想し、個人的な好みとは少し外れるのかなと思ってます。
      いや、買えない人間の負け惜しみですが。。
      でもやっぱり60~70年代の音楽は、当時の機器で鳴らしたほうがグッと雰囲気は出るのではないかと思ってます。

      なんて言いつつ先々月あたりにラックスマンの10年ほど前のプリメインアンプを購入して、リモコン付きなので気に入って使ってます。
      ただ昔のジャズは、やはりヴィンテージMcIntoshの方が熱気があって埋められない差はありますが。

      ラックスマンの方もそろそろブログに書くつもりなので、また見てやって下さい。
      それでは!

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