先日、モノラル盤レコード用のカートリッジとして、オーディオテクニカの「AT33 MONO」を購入した。初めてのモノラル用MCカートリッジである。
今日はこの製品の感想を簡単に書き残そうと思う。
購入した経緯
近年、古いジャズを聴くようになり、それに従ってモノラル録音のLPレコードを買うことが増えてきた。そして同時に、モノラル盤はモノラル針で聴くほうが良いという話もよく聞くので、いつかは買おうとも思っていた。
実はMMカートリッジでは1つ、モノラル用も所有している。ただしメーカー名や品番を出すのは控えるが、これが色気も元気もなにもない音を吐き出してくれる。しばらくは我慢して聴いていたが、結局ここ2年くらいはちっとも使っていない。モノラル盤もステレオ針で聴いている状況だった。
なので新たにモノラル用を買うのなら、今度はMCカートリッジにしてみようと考えていた。
そんな折、勤務先から勤続25年の報奨の一環として、税抜き2万円までの商品をプレゼントしてくれることになった。こちらで勝手に購入し、レシートだけ会社に提出する形だ。
2万円を超える商品の場合、不足分は自腹で払えばOK。たしか勤続20年のときは、Bluetoothイヤホンを買ったはずだ。(ちなみに15年のときは万年筆を購入)
という事で、この2万円も使ってモノラルカートリッジを買うことにした。
金額的に候補としては、まずは王道の DENON「DL-102」。大昔からあるモノラル用MCカートリッジだ。
ただ派生品ともいえるステレオ用「DL-103」を以前購入したことがあるが、正直どうにも眠たい音に感じて、すぐに売り払ったことがある。違う製品とはいえ、「DL-102」をチョイスするのは少し躊躇われた。
Ortofon「SPU」のモノラル品も考えたが、お値段的になかなか厳しい。そこまでのお金をつぎ込むほど、モノラル盤は持っていないともいえる。
ということで金額面で間をとって、オーディオテクニカの「AT33 MONO」にしてみた。
ハッキリいって深い意味はなく、テキトーに決めただけである。もちろん事前にレビューなどは読んで、悪くない評価である事くらいは確認済みだ。
オーテク「AT33MONO」レビュー
さてでは肝心の音について。
まず鳴らしてみたのは、ヘレン・メリル の名盤中の名盤。高音質 Analogue Productions 盤である。
掛け始めた感じでは今ひとつで、せいぜいやや音が太いかなと思える程度だった。が、20分ほどすると俄然、鮮度が上がってきて、実に彩り豊かに鳴るようになってきた。
「おお、これは良い」と思えてから後は、実に聴いていて楽しい。LP1枚を聴き終える頃には、早くも買って良かったと思える状態だった。
それから立て続けに バド・シャンク や、トミー・フラナガン 「OVERSEAS」 などを流してみた。
やはりステレオ針で聴くよりも定位がど真ん中にバシッと決まるし、音像も豊かに浮かび上がる。
何よりMCカートリッジらしい繊細さがあるし、それでいてモノラル特有の出音の力強さも感じられるサウンドだ。
それから数週間、モノラル盤を聴く際はこのカートリッジを使用しており、どのLPを聴いても概ね良好である。
必ずしもステレオ針より優れいてると感じる盤ばかりではない。ただ少なくとも、ステレオ針より落ちると感じるLPは、今のところ1枚もない。
5万円前後という価格は決して安くはないが、個人的にはまったく後悔していない買い物となった。というか、モノラル盤を聴くのが楽しくてしょうがない状況だ。
それにしてもよく言われる通り、アナログというのは何をやっても音にが変わる。困るようで嬉しくもある趣味だなと、しみじみ感じる今日この頃である。
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