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【MCカートリッジ】Ortofon『SPU Synergy』

 先日、レコードプレーヤーの新しいMCカートリッジを購入した。オルトフォンの『SPU Synergy』だ。
 実は最終的に返品することになるのだが、今日はその顛末について書いてみたい。

『SPU Synergy』に対する期待

 昨年、初めてオルトフォンのMCカートリッジを購入した。SPUの中では最も安価な『SPU #1S』というモデルだ。安価といっても、7万円前後するが。
 個人的には非常に気に入っており、心から買って良かったと思っている。つまり「SPUの音」が好みのものだったという事である。
 となると「エントリーモデルでこれだけ良い音がするのだから、もっと上のグレードの『SPU』ならさらに琴線に触れるようになるのではないか」という悪い虫が心に湧き出てくるのも、当然といえば当然のことだ。

 そんなことを考えながら『SPU』の各グレードを調べていくと、オーディオ逸品館の下記の記事に出くわした。

 はっきり言って『SPU Synergy』をベタ褒めである。こんなレビューを読んでしまうと、聴きたくなって仕方がない。
 とはいえ、20万前後のカートリッジである。さすがにおいそれとは買えない。いつか買えるとイイなー程度の物欲だった。
 ところがある日、よくチェックしている中古オーディオのネット店で『SPU Synergy』が割と安価で販売されているのを見つけてしまった。
 11万円超なので、それでも高額ではあるが、新品の販売価格に比べると手が届きやすい。
 2日ほど迷ったが、結局はポチってしまった。

『SPU Synergy』レビュー

 中古なのでそれなりに使用感はあったが、針の状態もまずます。第一印象としては、悪くない買い物だったと感じた。
 そして早速、トーンアームに付けて聴いてみた。

 一聴した感想としては、ちょっと微妙だった。
 決して悪くはない。『SPU』らしい太い中音域と艶ややかな音である。
 ただ、エントリーモデルの『SPU #1S』と、特に差が感じられないのである。

 聴き比べれば、違いはある。『SPU Synergy』のほうが表現力が高く、繊細な音には感じる。しかしその差は僅かだ。
 「糞耳」「オーディオシステムがショボい」と言われるとその通りなのかもしれないが、3倍ほどの価格差のあるカートリッジとしては、あまりに違いが少ない。
 中古とはいえ長らく使われておらず、ダンパーが固くなっていた可能性もあるが、どうにも納得の行く音ではなかった。

 そして困ったことに、時折ビビリが入るのである。曲の中で一部分、急に音のレベルが上ったときなどに、特にボーカルやピアノで歪みが出る。
 多くの曲で起きることではなかったが、アルバム1枚のうちで、3箇所くらい発生する。
 これは非常に困る。アナログ好きにとって、音の歪みは不快なことこの上ない。聴いていて特定の場所でビビリが出るのは、本当に心が萎える。
 色々とセッティングを試みたところ、推奨よりもかなり高い針圧にすれば概ね軽減はされた。しかし相当な針圧の高さである。常にその針圧でレコードを聴き続けることに、どうしても抵抗を覚えてしまう。
 ちなみに『SPU #1S』に代えてみると、同じLPでも推奨の針圧で何も問題なく再生できる。

そして返品に

 これが『SPU Synergy』に発生しやすい現象なのか、それとも個体差なのか中古品だからなのか、まったく分からないが、ともかく不快な思いで音楽を聴き続ける訳にもいかず、購入した店へ電話をかけて相談してみた。
 ありのままを話し、相当な針圧をかければ軽減される旨も伝えたが、返品してくれて構わないと謝罪とともに提案してくれた。
 そもそもこのカートリッジの不具合なのかも分からないので、こちらこそ何度も謝ったが、結局は返品させて頂いた。

 返品を決めた後も半日ほど調整をしながら聴いてみたが、やはり針圧を上げる以外に対策はなかった。
 ただ聴いているうちに、少しずつ音が変化していったように感じらた。やはりダンパーが固くなっていたとか、そうした要因があったのかもしれない。

 いずれにしても販売店の好意に甘えて、返品をさせて貰った。
 たった2日だったが、高級カートリッジを体験できたことになる。そして現時点では、我が家では『SPU #1S』で十分であるということを認識できたともいえる。
 結果論だが、良い経験をしたなと思っている。


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