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【イヤホン】DENON「PerL Pro」レビュー

 遠方の大学へ通っている次男が年末年始に帰省していたときに「AirPods の調子が悪い、ワイヤレスイヤホン余ってない?」と訊くので、愛用していた「Jabra Elite 85t」を譲り、新たにデノンの「PerL Pro AH-C15PL」を購入した。
 今回はこの新しいBluetoothイヤホンの感想を書いてみたい。

イヤホンの選定

 これまで使用していた「Jabra Elite 85t」は、相当お気に入りだった。過去それなりの数のイヤホンを使ってきたが、その中でも一番だったと思う。実際、3年以上に渡って使い続けたイヤホンは、他になかったはずだ。
 旧ブログでも絶賛していた。

【イヤホン】Jabra『ELITE 85t』レビュー
下記エントリーでレビューした、Master & Dynamic の Bluetoothイヤホン『MW07』を、1年とちょっとの間、愛用してきた。...

 ただ生来が飽きっぽい性格なので、丸3年も経過すると他のイヤホンを試したくなる。
 そんなときに次男からの申し出があったので、それを自分への言い訳に新調することにした。

 色々調べてみると、以前はワイヤレス・イヤホン業界でほとんど名前を見なかったテクニクスやデノンが参戦している。しかも両社の製品とも評価は高い。
 昔からノイズキャンセリングが苦手で、イヤホンでもヘッドホンでも、BOSEやSONYのノイキャンは気分が悪くなってしまうので、今回もひとまず候補から除外していた。
 で、せっかくなのでこれまでBluetoothイヤホンとしては使ったことのないパナソニックかデノンにする事にした。
 ちなみに父が松下電器に勤めていたので、幼少の頃から家電はナショナルかパナソニックだった。中学生のときに初めて買ってもらったシステムコンポや携帯プレーヤーもテクニクスで、特に音に不満は持っていなかった。

 さて、テクニクスの場合は「EAH-AZ80」というモデルになる。かなり評価は高い。実売価格で3万円代半ば。
 デノンの場合は、「PerL Pro AH-C15PL」。こちらも評価は抜群。ただし実売価格が4万円台半ばと、テクニクス「AZ80」より1万円ほど高い。

 ネット上の調査では、総合的にはテクニクス「AZ80」の方が評価が高いが、音質だけで見ればデノン「PerL Pro」が最良というレビューが目につく。
 少し迷ったが、今回は音質重視で「PerL Pro」をチョイスした。

DENON「PerL Pro」の良い点

 さて、ここからは実際に3週間ほど使ってみての感想を述べてみたい。

音質について

 まず最も重視した音質については、やはり多くの方の評価通りだった。ワイヤレスイヤホンも遂にここまで来たかと思える、実に見事なサウンドである。
 デフォルトの状態でも良い音だったが、デノンが推奨するパーソナライズ機能を使って設定すると、さらに鮮度の高いサウンドになった。

 特に中高音が凄い。繊細で艷やか。ひとことで言えば美音。ずっと耳を傾けていられる官能的な音だ。
 さらに驚いたのが音色である。変な表現になるが、例えばアルトサックスがアルトサックスの音色として、ウッドベースがウッドベースの音色として、きちんと耳に響くのである。
 勿論これまでのイヤホンが違う楽器の音色になっていたという訳ではないが、DENON「PerL Pro」はもっとリアルに生々しくその楽器の音として聴こえるのである。音の周りに漂っている付帯音のようなものが表現されているような趣だ。

 また、中高音の美しさに耳を奪われがちだが、低音がおろそかになっている訳では決してない。ウッドベースは弦が弾かれる様が見えるようだし、バスドラの沈み込みも申し分ない。
 もし低音に不満があるようなら、専用アプリで調整は可能だ。個人的には、パーソナライズ機能で設定した後で、少し低音を落としている。

 とにかく音に関しては、過去最高のレベルであり、評判通りだったと感じている。

ノイキャンについて

 ノイズキャンセリング機能については、これも多くの方の評価通りで、BOSEやSONYに比べると落ちる。
 「Jabra Elite 85t」では遮音性の高いイヤーピースに変えていたのでノイキャンが効いていたが、それに比べると「PerL Pro」は確実に効果が小さい。
 ただランニングでも使う身としては、この程度の効き具合で十分だ。
 それに、なぜか漏れ聞こえてくる周囲の音が、音楽を聴く上でほぼ気にならない。これは自分でもちょっと不思議に感じている。

付属品について

 充電を兼ねたイヤホンケースは、小気味よくフタが開閉する優れた仕様だ。特に高級感がある訳ではないが、安物チックでもない。
 個人的には何も不満はない。当然、USBケーブルも付属されている。

 イヤーチップは、シリコン製がサイズ別で4セット。それ以外にフォームイヤーチップが1セット付いている。
 またウイングアタッチメントも2セット付属されているので、ほとんどの人が耳にフィットできるだろう。
 なおフォームイヤーチップについては、何となく中高音の美しさが損なわれているように感じた。人によって様々だとは思うが、やみくもにフォームチップを使うのは止めたほうが良いと思う。

「PerL Pro」のイマイチな点

 次に、今ひとつな点。主にこれまで使っていた「Jabra Elite 85t」との比較になる。

 まず何よりも、値段が高い。4万円代はなかなか厳しい価格設定だ。

 次に操作性。「Jabra Elite 85t」はイヤホンの外を向いた平たい部分が物理的に押し込めるボタンになっていて、そこを1回押したり2回押したりして、音量調節や曲のスキップなどが行えていた。
 ところが「PerL Pro」は、物理的ボタンではなく、スマホ画面のように表面をタップする仕様だ。冬場に手袋をしていると、いちいち手袋を外して操作しなければならない。
 さらにランニング中は、タップ操作が極めて難しい。
 このタップによる操作という仕様は、「PerL Pro」の最も残念な点だと感じている。

 また外部音取り込みモード(ソーシャルモード)も、なかなかに不自然だ。明らかにマイクで拾ったような人工的な音で、「Jabra Elite 85t」が極めて自然に聞こえただけに、その差は大きいと言わざるを得ない。
 また外部音取り込みモードの際は、音楽のボリュームが数段下げられてしまう。これは余計なお節介といえる仕様だ。
 そもそも「PerL Pro」には、外部音取り込みモードか、ノイキャンモードしかない。「Jabra Elite 85t」の場合はその2つ以外に、通常モード(ノイキャンはオフで、かつ外部取り込みは無し)があった。特に誰かと会話する場面ではないが、外を歩いていてノイキャンはちょっと危ないといった場面でこの通常モードを使っていたが、「PerL Pro」はこれがないので不便に思うこともある。

総評

 感想としては、ざっとこんなところである。
 音質だけで選べば、この「PerL Pro」は間違いなく優れたアイテムだ。イヤホンでここまで音楽に没頭できるのは、本当に凄い。
 ただやはり高価であるという点は、大きすぎるデメリットである。価格差を考えると、よほどの音楽好きでない限り、「Jabra Elite 85t」で十分ではないだろうか。

 で、私が買い替えたのを後悔しているかと言うと、まったくそんな事はない。この音の魅力は一度体験してしまうと、もう後には戻れないレベルで、今は電車移動もランニングも、このイヤホンで音楽を聴くのが楽しみでしょうがない状態だ。
 ノイキャンのところで少し触れたが、外部の音が少なからず耳に入るのに、不思議なほど鳴っている音楽がきちんと聴こえ、かつそれが音楽に感動できるレベルで響くのである。これは使えば使うほど、本当に凄いと感じる事実だ。

 後悔なんて微塵もなく、きっかけになった次男に心のなかで感謝しているくらいである。


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