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【セレッソ】 vs アビスパ福岡(2022年J1リーグ第9節)

 今日のセレッソ大阪は、アウェイでアビスパ福岡と対戦。
 スタメンは前節、試合途中で負傷交代したSB山中に代わって、久しぶりに丸橋がリーグ戦復帰。それ以外は前節と変わらずである。

アビスパ福岡 0-0 C大阪

 セレッソはここ数節と同じように、前線からプレスを掛けるシステム。というか、これしかない。
 ただしこの戦略は、川崎フロンターレのようにあくまでボールをつなぐビルドアップにこだわるチームには有効だが、柏レイソル戦で露呈したように、無理ならあっさりとロングキックを選択する相手には、ほとんど通用しない。
 そして今日のアビスパ福岡は、もうポイポイとロングボールを選択する。
 もちろん前線に、ファンマとルキアンという屈強なFWがいるからだ。たとえ彼らがボールを完全に収められなくても、落としたボールを味方が拾えば良いという考え方である。

 これをふまえてセレッソも途中からは、無駄なハードプレスは控えるようになったが、そうなると次の手がない。少なくとも効果的な手は確認できなかった。
 対するアビスパも、それほど戦術的なフットボールはしてこない。
 つまり今日の試合はもう、ガチムチの撃ち合いである。90分の間、攻めては守りの繰り返し。良く言えば見応えのある、悪く言えば見所の少ないゲームだった。終始、単調な攻守の場面ばかりで、ファンタスティックな崩しや高度な戦術などは、両チームとも見られなかった。

 個人的には、ちょっと複雑な心境である。
 いくら過去を惜しんでも仕方ないのだが、例えば過去に旧ブログでレビューした、2020年7月のヴィッセル神戸戦。

【セレッソ】 vs ヴィッセル神戸(2020年J1リーグ第6節)
今日のセレッソ大阪は、ホームにヴィッセル神戸を迎えた阪神ダービー。 前節のアウェイ広島戦から中三日であり、左SHは清武弘嗣に代わって柿谷曜一朗がスタメンに入るかと予想していたが、そのまま清武でスタート。2トップは奥埜博亮と都倉賢、CBの左に木本恭生が入っている布陣である。...

 この試合は今節と同じく 0-0 のスコアレスドローで終わったのだが、このブログの中で
両チームとも非常に集中し、硬い守備と多彩な攻撃を見せた、珍しいほど質が高く、見応えのある90分だった。誤解を恐れずに言うならば、Jリーグのレベルを少し超えたゲームだったと思う
これほど両チームが頭を使ってぶつかりあうゲームは、数年に一度くらいのものだろう。『両チームの選手を讃えたい』などという口先だけで語られることの多いセリフが、本心から出てしまう質の高い試合であった
と書いている。
 今でもこの試合のことは、割とよく覚えている。両チームの監督が知力の限りを尽くし、ピッチの選手たちはそれに従って実に締まったプレーを見せてくれた。得点がなくても、本当に見応えのあるゲームだった。

 翻って今日の試合内容を考えると、どうしても釈然としないものが残る。あの2年前のフットボールの未来形を見たかったと、やっぱり思ってしまう。
 いやホント、こんな後ろ向きのことを何十回言ったところで何にもならないのだが、これといって言いたいことの見当たらない今日の試合を見て、どうしてこうなってしまったのだろうかと、また女々しい気持ちになった90分であった。

 ちなみに上のブログの最後、ロティーナ監督の採点で
彼はいつまでセレッソを率いてくれるのだろうか。今から “アフター:ロティーナ” のセレッソが不安になる
と書いている。
 我ながら、悪い予感ほど的中する。

選手採点(セレッソのみ)

GK
キム・ジンヒョン 6.0
幸運にも相手のシュートが正面に来たというシーンも多かったが、きっちり失点ゼロで抑えた。イエローカードを貰ったのは、ちょっと勿体なかったかなと思う。

DF
松田 陸 6.0
いつも彼のクロスの精度を悪く言っているが、今節は前半43分のアーリークロスを筆頭に、質の高いキックが多かった。左右は逆だが、山中のクロスに良い意味で感化されているのかもしれない。

西尾 隆矢 6.0
屈強な相手FWを相手にし、時にはサイドのMFクルークスのケアもしなければならないと、少なくないタスクを抱えていたが、無事にやりきった。

マテイ・ヨニッチ 6.5
足元の精度は今ひとつながら、やはり最後の砦としての堅牢さは格別。福岡FWファンマには手を焼いていたが、ヨニッチでなければ抑えられなかっただろう。

丸橋 祐介 6.5
やはりチーム内でのポジション競争はモチベーションを向上させるのだと、今日の彼を見て感じた。特に守備での貢献はこれまでの彼のパフォーマンスの中でもトップクラスで、最後まで懸命に戻って「割らせない」という気迫が感じられた。是非このメンタルを維持して欲しい。

MF
中原 輝 6.0
目立つ場面は多くなかったが、前節と比べるとかなり効いていた。彼の存在で福岡の左サイドは、あまり思い切ったプレーが出来なかったように映った。田中達也という厄介なプレーヤーも、上手く消していた。

奥埜 博亮 6.0 (60分OUT)
ビルドアップ時はDFラインに下がってボールを回し、相手陣内に入ればゴール前にも顔を出す。彼の真骨頂が前半から見られたが、60分に無念の負傷交代。代えのきかない選手なだけに、軽傷であることを祈りたい。

原川 力 6.0
奥埜とは縦関係になるシーンが多く、前に位置して攻撃の采配を振るっていたが、奥埜の負傷により清武が入ってからは、後ろで全体をケアすることが多かった。いずれのパフォーマンスも申し分なし。

為田 大貴 6.0 (67分OUT)
少なくとも乾がいない間は、彼が左SHのスタメンに選ばれることに、なんの不満も湧かないプレーを見せてくれている。これで点が獲れるようになってくれると心強いのだが。

FW
加藤陸次樹 5.0 (79分OUT)
悪い内容とまでは思わないが、前半5分に裏に抜け出したシーンなど、何度かあったチャンスのいずれかは決めて欲しかった。

山田 寛人 5.0 (67分OUT)
ボールの引き出し方が、上のレベルの選手に比べると劣っているように思える。教えて向上するものかどうか分からないが、決定力とは違う種類の成長が必要なのかも知れない。

 

交代出場
清武 弘嗣  6.5 (60分IN)
今日はなぜか鈴木徳真がベンチに入っていなかったため、奥埜の負傷により急遽、彼がボランチの位置へ。ボールを狩れるプレーヤーではないので不安はあったが、特にピンチを招くシーンもなかった。というか、やはり彼がピッチに入るだけで、チームの躍動感が明らかに改善される。恐ろしい選手である。

ジェアン・パトリッキ 6.0 (67分IN)
典型的な、途中出場で流れを変えられるサイドアタッカー。まぁとにかく速い。試合終盤に入ってきて、こんなゴリゴリ来られたら、マッチアップする相手選手は実に嫌だろう。後は結果を残して欲しい。

北野 颯太  5.5 (67分IN)
ちょっと評価が難しい。いつも述べるように、短い時間でも必ず複数のチャンスにからむ点は素晴らしい才能だし、同時にそれらを活かせないプレーに失望感も隠せない。全然タイプは違うが例えば杉本健勇のように、ポテンシャルの高さから将来を期待されながらも長年くすぶり続けるような、そんな選手人生は歩んで欲しくないと願う。もう孫を見守る気分だ。

ブルーノ・メンデス ー (79分IN)
今節も彼らしい躍動感が見られず。

 

監督
小菊 昭雄 5.0
ボランチの控えをベンチに置かず、アビスパの力技を最後までいなせず、効果的な一手も打てず。ハードプレス・ハードワークのサッカーは、それはそれで文句はないが、クオリティを上げることと、相手によって柔軟性を持たせることは必須だろう。これからの手腕に期待したい。

 

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