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【セレッソ】 vs 鹿島アントラーズ(2022年J1リーグ第10節)

 今日のセレッソ大阪は、ホームで鹿島アントラーズと対戦。
 スタメンは、下記の公式Twitterの通り。

 結果は 0-3 で敗北。防戦一方という試合ではなかったし、むしろチャンスの数だけなら明らかにセレッソのほうが多かったが、内容的には完敗ともいえるゲームとなった。

C大阪 0-3 鹿島アントラーズ

 試合は、前日からの雨でピッチコンディションが悪いことも影響したのか、序盤からかなりオープンな展開となった。
 そんな中、開始わずか5分でセレッソはあっさりと失点。GKクォン・スンテのゴールキックをヘディングで競り負け、まともなパスもないままボールを拾った鹿島MF松村がPA内まで侵入してシュート。これはGKキム・ジンヒョンが防いだが、こぼれ球をFW鈴木優磨が頭で押し込んでの先制点だった。
 崩された訳でもカウンターを受けた訳でもなく、単なるゴールキックから10秒程度で、本当にあっさりと失点。セレッソ目線でいえば、松村がボールを拾う1つ前に、DFヨニッチが鹿島FW上田綺世との競り合いに負けたのが痛かった。
 この試合、最後まで続く「個の局面で勝てない」シーンの始まりだった。

 しかしセレッソも好機は作れていた。
 失点後すぐの7分には、左右の揺さぶりから最後はMF原川がシュート。ただしこれはアントラーズGKクォン・スンテがキャッチ。
 10分にも、右サイドのパス交換から、鹿島PA内でMF中原が左脚を振り抜くシュート。しかしこれもボールに勢いがなく、GKクォン・スンテがキャッチ。

 すると13分に、早くも2失点目。アントラーズの攻撃を防いだシーンで、セレッソのクリアーボールをすぐに跳ね返され、拾ったFW鈴木優磨がサイドから迷わずクロス。これをファーサイドから走り込んできたMF松村がボレーでゴールにねじこむ、質の高い得点であった。
 この場面、得点の直前にも鈴木→松村のサイドチェンジのパスが出ているが、いずれのパスも鈴木優磨はほんの一瞬しか松村の位置を確認していない。概ね誰がどの辺りにいるのか、共通認識があるのだろう。チームとしての連携の高さが伺えるシーンだ。
 そしてフィニッシュの場面で松村は完全フリーだったが、セレッソ側からすれば一度ボールを奪った次点でSB山中は外に幅をとってしまい、マークが間に合わなかったのだろう。ここは今後、リスク対応の観点から改善が必要なのかもしれない。
 いずれにしても試合開始から15分も経たないうちに、鈴木優磨に1得点1アシストを決められてしまった形だ。

 とはいえまだ時間はたっぷりある。当然セレッソは逆転を目指すのみ。
 しかし、まず1点が遠い。
 18分には、鹿島DFブエノが出血でピッチを出て、セレッソが一人多い時間帯でコーナーキックを迎えた場面があったが、活かせず。
 23分には右サイドを切り込んだMF中原が、ゴールライン際からマイナス方向のクロス。しかしここは味方に合わず、鹿島GKクォン・スンテがキャッチ。

 こうしてチャンスを逃していると、徐々に流れはアントラーズに傾き始める。
 序盤は鹿島CB脇のスペースを狙って有効に使っていたセレッソだったが、対策を打たれると攻め手に欠き、攻撃に厚みもなくなったいった。
 何より、デュエルでことごとく負けるので、リズムをつかめない。先に述べた通り、90分の間に1対1の個の場面でほとんど勝てないのである。
 その結果、アントラーズが攻勢を強める時間帯も当然あったが、前半はひとまず 0-2 で終了。


 そして後半、セレッソは清武に代えてパトリッキを投入してスタート。
 セレッソはもちろん点を獲りに行くしかない。
 しかしやはり1点が、最後まで遠かった。
 52分には原川のフリーキックから競ってこぼれたボールを、最後は途中出場したばかりのMF毎熊がシュートを放つが、ボールは無情にもポストに。
 67分には、右サイドを駆け上がったFWブルーノ・メンデスがゴール前へクロスを入れ、FW山田がニアへ走り込むも、手前でギリギリ鹿島DF関川にクリアーされる惜しい場面もあった。ここはブルーノ・メンデスのクロスのスピードがもう少し速ければ、決まっていたかもしれない好機だった。
 その直後、68分にもシュートまで持ち込む場面があったが、最後はGKクォン・スンテがキャッチ。
 さらに88分には、左サイドの山中から良質なクロスが入ったが、FWアダム・タガートのヘディングは枠外。

 すると後半のアディショナルタイムに、アントラーズがダメ押しの3点目を決め、事実上の試合終了。
 この得点は、途中出場のアルトゥール・カイキによるものだが、その手前でMF原川が驚くほど簡単に鹿島MF樋口に身体を入れ替えられてクロスを許している。疲労MAXの時間帯とはいえ、あまりに集中力を欠いた原川のプレーである。


 こうして 0-3 で試合は終了。チームとしての力の差が、スコアにも表れた結果となった。
 単純にチャンスの数だけでいえばセレッソが上だったと思うが、そのクオリティには歴然とした差があった。もちろん好機の数は多いほうが良い。しかしフィニッシュの精度が追いついていなかった。
 アントラーズは今日の試合、少ない決定機をものにした。そこに至る形があった。しかしセレッソは、何か偶発的な展開を期待して、ゴール前にボールを放り込んでいるだけのように映った。

 そして形だけではなく、ひとりひとりの選手の決定力も違っていた。
 以前、アントラーズでプレーしたことのある選手が、「鹿島の練習はとにかく疲れる」と言っていた。肉体的な話ではなく、練習中も極度の集中を求められ、1つ1つのプレーに対する真剣さが、練習の時点で他チームとは違うという意味だった。
 翻ってセレッソは日々の練習どころか、試合前のシュート練習でさえ枠外が目立ち、特にそれを悔しがる様子もない。「練習でさえ枠に行かないシュートが、本番で枠に行く訳がない」と Twitter で言っているサポーターも散見されるが、本当にその通りだと思う。

 そしてもう1つ、今日の試合で気になったのは、ちょっとしたミスが多すぎることだ。少しトラップが大きくなった、少しパスが長かった等といった些細なミスが、セレッソの選手には多かった。
 豪雨の後ということでピッチの状態が悪いのは分かるが、言うまでもなくそれはアントラーズも同じだ。しかし特にコンディションの悪かった前半、上手にボールを扱っていたのはアントラーズだった。セレッソのホームであるにもかかわらずだ。
 元日本代表監督の岡田武史氏がよく口にする『勝負の神様は細部に宿る』という言葉がある。数年前のW杯アジア予選のTV中継の際に岡田氏はそれを

たった1回、 誰かひとりが “これくらい良いだろう” 、たった1回、誰かひとりが “俺一人ぐらい” 、そういうことが勝負を分ける。たった1回、1メートル手前で逃したために、ワールドカップに行けなくなるかもしれないのに
そういう1メートルをおろそかにしてはいけない

 というような趣旨の説明をしていたと思う。
 今日のセレッソでいえば、たった1回のトラップミスやパスミスが、敗戦につながったかもしれない。果たして選手たちが、そうした気概でプレーしているのか、そうした気持ちでシュート練習に励んでいたのか。
 今日の試合の中で、クロスに対してあと少しだった、触っていれば点が入っていた、と思えるシーンが、少なくとも2回あった。しかしその少しの差が、勝敗を分ける。
 たぶんアントラーズは、練習からその「少し」をおろそかにしないのだと思う。

 ちなみに試合後の小菊監督のコメントを聞く限り、一定の手応えがあるようだ。内容的には悪くなかったとのこと。
 そうなんすか。。

選手採点(セレッソのみ)

GK
キム・ジンヒョン 5.0
失点はいずれも彼に非がある訳ではないが、3失点では採点は厳しくせざるを得ない。次節は恐らく、外国籍選手としてのJ1出場記録を塗り替えることになると思う。どうか勝利で飾って欲しい。

DF
松田 陸 4.5 (77分OUT)
クロスの精度が低いのはいつものことで、それ以外の点では特に悪かったとも思わない。良くもなかったが。

西尾 隆矢 5.0
ジンヒョンと同様、3失点では採点は厳し目。ただサイドのカバーリングも丁寧に行っていたし、個人的にはチームに貢献したほうだと思う。

マテイ・ヨニッチ 4.5
彼のポテンシャルを信じているだけに、今日のパフォーマンスには満足はできない。あと欲を言えば、セットプレーでの得点にも期待したい。

山中 亮輔 4.5
1本良質なクロスがあった以外は今ひとつ。特にディフェンスでの緩さが目立った。

MF
中原 輝 5.0 (53分OUT)
サイドアタッカーとしてそれなりに効いているのだが、決定的な仕事が出来ていない。坂元レベルに成長する日を待ちたいと思う。

奥埜 博亮 5.0
彼らしい気の利いたポジショニングや、ビルドアップのスタートとなってピッチ狭しと走ってくれたが、チームを救うには至らず。

原川 力 4.0
序盤はチャンスメイクしていたが、後半は雑なプレーが目立った。そして3失点目の軽すぎるディフェンス対応は、言い訳の余地なし。

清武 弘嗣 4.5 (46分OUT)
降りてきてボールに触るが、前線が薄くなることで効果的な攻撃を演出できず、ハーフタイムでベンチに下がった。

FW
加藤陸次樹 4.5 (65分OUT)
懸命に前線でボールを収めようとしたが、十分なパフォーマンスは見せられず。あとはやはり決定力が欲しい。

山田 寛人 4.0 (77分OUT)
ボールの収まりや扱いに物足りなさしか残らなかった。些細なトラップミスで好機を逃すシーンもあり、なぜ監督が彼を77分まで引っ張ったのか、理解に苦しむ。


交代出場
ジェアン・パトリッキ 6.0 (46分IN)
コンスタントに途中出場し、コンスタントに一定以上のパフォーマンスを見せてくれている。チームを救うには至っていないが、彼の投入から左サイドが活性化したのは、誰の目にも明らかだろう。ゴリゴリながら気の利いたパスも出せるし、良い助っ人が来てくれたと思う。

毎熊 晟矢  5.0 (53分IN)
途中出場直後のポスト直撃シュートが決まっていれば、試合の流れが変わった可能性もあったが、残念ながら決めきれず。それ以後はやや消えている時間帯もあったが、概ね悪くないプレーだったと思う。

ブルーノ・メンデス 4.5 (65分IN)
今日はサイドに流れても、バックパスではなくクロスを選択していた。ややチームとしての方針が変わったのかもしれない。

アダム・タガート ー (77分IN)
出場時間が短く採点なし。

進藤 亮佑 ー (77分IN)
出場時間が短く採点なし。


監督
小菊 昭雄 4.0
一体この1週間、何を準備してきたのか全く伺えず、またもホームで無様な敗戦。チーム内での競争、ポジション争いの激化といった点は評価するが、戦術面での手腕が現時点では見えてこない。

 

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