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【セレッソ】 vs 名古屋グランパス(2022年J1リーグ第34節)

 いよいよ2022年のJ1リーグも最終節。セレッソ大阪は、ホームで名古屋グランパスとの対戦だった。
 スタメンは下記公式Twitterの通り。

 前節に続いて左SBに舩木が入り、両サイドにパトリッキと中原、奥埜に代わって清武がボランチ、2トップの一角に北野という、舩木以外はかなり意図的に変化を付けたスタメンとなった。
 ゲームは、0-0 で時計の針が進むも、67分にGKキム・ジンヒョンが一発退場になったことを契機に、後半アディショナルタイムに先制点を許し、0-1の敗北に終わっている。

C大阪 0-1 名古屋グランパス

 90分を通して、概ね拮抗した試合だったといえる。両チームともある程度ゲームをコントロールしながら、それでいて決定的なチャンスには届かなかったという印象だ。

 セレッソはまず6分に、FW北野がボックス外から思いきりの良いファーストシュート。
 グランパスも10分にFKから先制点を目指したが、ニアでMF清武が頭で触り、オウンゴールすれすれのクロスバーに当たるクリアー。
 すかさずセレッソも12分にグランパス陣内深くで、MF中原が名古屋DF丸山のミスからボールを奪ってショートカウンターのチャンス。しかし左足シュートはブロックに遭って決めきれず。

 次の決定機は30分、名古屋ゴールキックからのビルドアップの場面でハイプレスでボールを奪い、ボックス内でFW加藤が右側のMF中原へラストパス。しかしこれがそれて好機を逸脱し、シュートまでは持ち込めずに終わった。
 36分にはセレッソの波状攻撃の中で、最後こぼれ球をMFパトリッキが左足でシュートを放ったが、ボールはクロスバーを直撃。利き足でのシュートなら、入っていたかなと思える決定機だった。
 前半はこのまま 0-0 で終了。


 そして後半、まずは53分に機を見て右サイドに流れたパトリッキがボールを貰って名古屋PA内まで迫ったが、グランパスも懸命に戻ってシュートまで持ち込ませず。
 しかし66分に試合を大きく揺るがすレッドカードが提示。グランパス陣内からのFWマテウスのロングフィードによって、名古屋MF相馬に裏のスペースへ抜け出されかけたシーンで、GKキム・ジンヒョンがPA外まで飛び出し、手を使ってボールを止めてしまったプレーに対してだった。
 誰が見ても一発退場が妥当なジャッジであり、後半の66分かつドローという状況を考慮すると無理に止めるべき場面ではないだろう。スピードスター相馬に裏を取られる時点でチームとしての対応が不味かったとはいえ、GKキム・ジンヒョンのプレーは不用意だったと言わざるを得ない。

 こうして一人少なくなったセレッソは、GK清水を入れるためにMFパトリッキがベンチへ。さらにその数分後には、先発2トップの北野と加藤に代えて、FWブルーノ・メンデスとMF為田を投入。4-4-1の構えとなった。
 当然ながらグランパスがボールを握る時間帯が増えるが、必ずしもセレッソは防戦一方とまでは行かず、何度か名古屋ゴールに迫る場面もあった。

 そして両チームとも点を奪えずに突入した後半アディショナルタイムの97分に攻め込まれ、最後はこぼれ球をMF相馬に押し込まれて、またもや試合終了間際に決勝点を与えての敗戦となった。
 観ていて思わず「なんでやねん!」と舌打ちしてしまったのは、その直前に名古屋ゴール付近まで攻め込み、左タッチラインにボールが出て、セレッソのスローインとなった場面だ。アディショナルタイム8分に対し、すでに時計の針は96分。一人少ないという状況なら落ち着いれプレーすべきシーンだと思うが、攻め込んでいる勢いのまま素早くリスタートしてすぐにボールを奪われ、あれよあれよという間に失点してしまっている。
 何故そんなに急いでプレーを再開したのか。勝ち点3を目指したといえば聞こえはいいが、観ていて「おいおい」と思ったし、実際にそれが失点につながっている。
 フラッシュバックしたのは、4年前のロシア・ワールドカップで、日本代表が強豪ベルギー相手に2-2で迎えた後半アディショナルタイムのコーナーキック。本田は時間稼ぎせずにポーンとゴール前にボールを入れ、GKクルトワにキャッチされ、電光石火のカウンターを浴びて劇的な敗退を喫したシーンだ。あのときもTVの前で本田がCKをゴール前に蹴り込んだ際に「なんでやねん!」と舌打ちした。
 いつも述べているように、プロは結果が(全てではないが)第一だと思っている。そして結果的には4年前の日本代表も、今日のセレッソも、判断を誤ったと言えるだろう。
 個人的な感想ではあるが、実に稚拙なスローインだったと思う。


 いずれにしても今日で今季のセレッソの公式戦全日程は終了した。少しだけ総括してみたい。
 リーグ戦は5位、天皇杯はベスト8、そしてルヴァン杯は準優勝という成績である。まずまずといった結果だ。
 このブログをずっと見て頂いている方なら、シーズン当初の小菊監督に対する私の評価が高くなかったことはご存知だろう。それはあまりチームとしての形が見えず、特にオフェンスの引き出しが少なく、部活サッカーの延長のように感じていたからだ。
 ただ当時から「降格の心配はない」という主張もしてきた。守備に関してはある程度、安定しており、ズルズルと失点を繰り返すチームには思えなかったからである。
 シーズン途中の連戦で破竹の勢いを見せ、勝点を積み上げたことで、ちょっと欲が出てしまったが、やはりシーズン終盤は失速して得点力の欠如が誤魔化せなくなった状態で、今季は終了を迎えたといえる。

 クラブは一定の成績を残した小菊監督を、当然のように続投させるようだ。その判断に異を唱えるつもりはないが、それならなぜ一昨年リーグ4位だったロティーナを切ったのかという消えないわだかまりが再燃するのも、こちらとしては抑えられない感情である。
 個人的には一旦、小菊さんをコーチに戻して、戦術に長けた監督を招聘したほうが良いと思う。これは小菊さんを大切に扱いたいからなのだが、もうこの辺りはどうにもならないだろう。
 お隣のガンバ大阪で、レジェンドである宮本恒靖氏がズタボロに使い古されてシーズン途中で解雇された事態が、来季のセレッソで起こらないよう祈るのみである。

 あと、ここ数年のあいだ慢性化している得点力不足は、絶対に補うべきである。とりあえず二桁得点できるFWの補強は必須だと思う。

選手採点(セレッソのみ)

GK
キム・ジンヒョン 3.5 (67分OUT)
すでに述べた通り、今日の一発レッドの場面は、退場になってまで失点を防がなくてはならないシーンだとは思えないため、やはり酷な採点になってしまう。

DF
松田 陸 6.0
まずは今季もほとんどの試合で右サイドを上下動してくれた彼に感謝。今日の試合でも、奇をてらったようなプレーはなく、堅実な動きで安定感があったと思う。

ヨニッチ 6.0
悪夢のようなルヴァン杯決勝戦の一発退場から公式戦2試合ぶりの復帰。前半に一度、グランパスのロングボールをヘディング空振り(逆光でボールが見えなかった?)という珍しいシーンがあったが、それ以外は概ね順調なパフォーマンス。SB裏のスペースのフォローも迅速だった。

鳥海 晃司 5.5
グランパスFWレオナルドには、かなり手を焼いていた様子。とはいえ決定的な仕事はさせず、懸命に食らいついていた。

舩木 翔 5.5
前半7分に早くも相手に簡単に交わされてクロスを入れられたときは軽く目眩がしたが、その後はタイムアップまでそつなくこなした。ただ最後のスローインは、あれで良かったのか疑問は残る。(彼の判断だったかどうかは不明だが)

MF
中原 輝 6.0 (81分OUT)
周りの使い方という意味では物足りなさが残ったが、途中出場が続いていた彼としては、決して悪くないフォーマンスだった。多くのチャンスに絡み、存在感があった。

鈴木 徳真 5.5
シーズン当初からは考えられないほど成長した姿でフィニッシュした選手のひとり。初めに観たときとは別人のように視野が広がり、セレッソに安定感と落ち着きを与えてくれた。今節もまさにその通りだった。

清武 弘嗣 5.5
彼をこの位置に配するのは勿体ないが、奥埜がベンチ外である以上、仕方なしか。前半はパスのズレなどが散見されたが、後半はスルーパスをバシバシ通した。また守備でも予想以上の働き。ただどうせなら、喜田陽と鈴木の2ボランチで、清武をトップ下に置いた 4-2-3-1 が観たかったかな。

ジェアン・パトリッキ 5.5 (71分OUT)
ボールを貰っても前方にスペースがないと何も出来ないことを見透かされたグランパスの対応だったが、それでも一定の存在感と脅威を与えていた。クロスの精度などがもう少し高ければ、あるいはセレッソが先制していたかもしれない。

FW
北野 颯太 5.5 (75分OUT)
ひたすら裏のスペースを狙うことで、ある程度はグランパスのラインを下げさせていた。ただシーズンを通して、リーグ戦で彼がほとんど活躍できなかった理由は、彼も監督も真剣に考えてみるべきだろう。

加藤 陸次樹  5.5 (75分OUT)
プレスバックでもビルドアップの場面でも、タイミング良く降りてきてセレッソのボール回しを手助けしていた。前半14分の右サイドをインナーラップして放ったシュートは、FWらしい見事なものだった。


交代出場
清水 圭介 6.0 (71分IN)
後半アディショナルタイムの失点は、ノーチャンスだろう。その直前の名古屋FWマテウスのミドルシュートを防いだ好セーブこそ評価すべき。

ブルーノ・メンデス 4.5 (75分IN)
相変わらずちょっとした接触でコロコロとよく倒れる。「ヘタクソなフェイクで逃げるんじゃねえ!体を張れ!」「そのデカい身体は何のためにあるんだ!」とどこかで聞いたようなセリフが頭に浮かぶ。一人少ない状況で投入された役割を理解していないとしか思えないプレーばかりだった。

為田 大貴 6.0 (75分IN)
短い時間ながら躍動していた。やはりずっとスタメンで出ていた選手というのは、ピッチで少し違う雰囲気を醸し出していると、今日の彼を観て感じた。

毎熊 晟矢 ー (81分IN)
出場時間が短く採点なし。


監督
小菊 昭雄 4.0
GKの退場というエクスキューズはあるにせよ、ここ数試合まったく勝てていない、点も入れられないという状況は、やはり言い訳の余地はない。ことごとくサンフレッチェに負けて以降、モチベーターとしての手腕にも疑問符が付いている状態でシーズンがフィニッシュしてしまった。来季こそタイトルを獲って欲しい。

 

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