書名 | 完全記憶探偵エイモス・デッカー ラストマイル |
著者 | デイヴィッド・バルダッチ |
発行年 | 2016年 |
タグ(ジャンル) | ミステリー |
個人的評価 | ★★★★☆ |
あらすじ
FBI特別班で新たな任務に就くことになったエイモス・デッカーは、ヴァージニアにある本部へと車を走らせていた。その道中、カーラジオから流れてきた死刑囚の名前が、デッカーの“特別な脳”を刺激する。あらゆることを鮮明に記憶し、決して忘れることもできない、完全記憶能力を持つ脳を──。
引用元:Gooleブックス
死刑囚の名はメルヴィン・マーズ。大学フットボール界のスター選手だった彼は、NFL入りを目の前にして両親殺害容疑で逮捕。以来20年間、殺人犯として生きてきた彼は、最後の再審請求も棄却され、死刑が目前に迫っていた。だが、刑が執行される5分前、想定外の事態が起こる。メルヴィンの両親を殺した“真犯人”が現れたのだ。
死刑執行5分前に現れた“真犯人”は、なぜ二十年の沈黙を破り、マーズを救おうとしたのか? マーズの事件に、自身の妻子殺害事件を重ねあわせたデッカーは、仲間とともに20年前の謎に挑むが、やがて彼の両親が深い闇を抱えていたことが判明する。
読後の感想
何もかもが前作と同じ。海外作品にしては珍しく必要以上にクドい比喩などはなく、余計な風景描写も省かれ、どんどん捜査が進み、話も進む。謎解きを後にとっておくこともせず、次から次からあらゆることが解明していくが、それでも解決に至るにはかなりのページをめくらなければならない。
さらに、あまり読者を驚かせるような展開やどんでん返しなどがほぼ無いところも前作通りである。
しかし本作には、前作になかった男同士の友情という、エモーショナルな要素がある。無骨で愛想のない主人公が、捜査の過程で死刑囚だった黒人に対して、自らの心情を露わにしていく変わり方に、終盤には胸が熱くなった。
そして作品の質としても、本作のほうが前作よりやや上だろう。割と込み入ったストーリー展開だったが、読んでいて違和感なく理解できるので、丁寧で上手な文体だったのだと思う。
とにかく退屈する間もなく、ひたすら話が進むので、読んでいて実に楽しい。ロードムービー風ミステリーといった趣だ。
小説として間違いなく水準以上の作品なので、興味のある方は一度、読んでみて欲しい。
↓ コメントはこちらへ ↓