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【セレッソ】 vs ガンバ大阪(2023年J1リーグ第11節)

 いよいよやって来ました2023年Jリーグの大阪ダービー。今日は快晴の中、アウェイでガンバ大阪と対戦だ。
 セレッソ大阪のスタメンは下記公式Twitterの通り。ベンチも含め、すべて前節と同じ顔ぶれである。

 内容よりも結果が求められるダービーだが、ここ数年と同様、セレッソがガンバを振り切って、2-1で勝利を飾っている。

G大阪 1-2 C大阪

 ゲームは90分を通して、ガンバ大阪が優勢だった。立ち上がり7分までにコーナーキックを2本与え、また特に序盤はセレッソのボールホルダーに対するガンバの寄せが早く、セレッソはビルドアップで相手陣内に侵入するのも苦慮していた。
 さらにセレッソは前節に続き、パスミスも散見。6分にはMF為田の何でもないバックパスが逸れて最後はガンバMF食野にボックス内からシュートを打たれ、15分にもSB松田の右サイドからCB鳥海への斜めのバックパスを危うくカットされかけるなど、精度もパススピードも不足したプレーが少なくなかった。
 そして21分にはSB松田が右サイド自陣深くで、判断を誤ってガンバMF食野を倒して危険な位置からのフリーキックを与えている。ちなみに松田はこのプレーで、イエローカード。

 しかし先制点は、そのSB松田のクロスから。
 27分、左サイドからのパスをセンターサークル付近で受けたMF奥埜が、素早く右サイドのSB松田へボールを供給。松田はほとんど前へ進まず、すぐにPA内へアーリークロス。
 これが中へ走り込んだFWレオ・セアラへのピンポイント・クロスとなり、ヘディングでゴールへぶち込む先制弾となった。

 FWレオ・セアラのヘディングは非の打ち所がないし、その前のSB松田陸のクロスも完璧。
 さらにその前のMF奥埜→松田へのパスもピンポイントで、ある意味では精度の高いプレーが続けばあっさりと得点が生まれるという証明にもなる先制シーンであった。

 しかし先制後もガンバがボールを握る時間帯が続く。
 ただしガンバも、攻→守への切り替えは早いが、守→攻へは今ひとつ遅く、カウンターを仕掛けてもフォローがほとんど付いてなくて単騎で突破を図らざるを得ないというシーンが多かった。セレッソとしてはカウンターよりも、ビルドアップで持ち上がられたほうが危険値は高かったと思う。
 37分にはそのビルドアップから波状攻撃を受け、危険なシーンも作られたが、フィールドプレーヤー9人がボックス内に入ってスペースを与えない守備を見せ、何とかゴールは許さずにセレッソの1点リードで後半へ折返し。

 そして後半。イエローを1枚もらっている松田を下げて、頭からMF中原が右サイドへ。これによって毎熊が右SBに下がった布陣となった。
 しかし前半に続き、ガンバがボールを握る展開。セレッソはボールを奪っても、なぜか焦ってプレーして奪い返されるシーンが目についた。

 そんな流れの中、後半10分に右サイドをパス交換でボック内へ侵入され、ゴールライン際からFW宇佐美がマイナス方向へグラウンダーのクロス。これをニアに入ったFWジェバリがスルーし、後ろから走り込んだMFダワンが中央からズドンとゴールへ沈められ、スコアは1対1に。

 勢いに乗ったガンバはその後もボールを握ってセレッソ陣内へ迫る。
 後半31分にはまたも波状攻撃を受けるが、ここもセレッソは人数をかけて何とかゴールは割らせず。

 ところがガンバはボールが持てるだけに前線に人数が集まり、後方は2CBのみ残っているという状況も生まれつつあった。
 そうした伏線を経て、アディショナルタイムに突入する直前の後半44分、セレッソがロングカウンターを発動。発端は、ガンバの左サイドからFW宇佐美がカット・インして、PA内にクロスを入れたところから始まる。
 宇佐美のクロスをSB山中が跳ね返し、こぼれ球をFW上門が拾って、MF香川経由でボールはセンターサークル近くに上がっていたFW北野へ。
 ガンバは後ろの人数が足りておらず、北野はすぐに前を向いてボールを運び、左側を駆け上がってきたSB山中へパス。
 そして山中が狙いすましたクロスを入れ、ファーサイドで待っていたFW加藤が頭で叩き込んだゴールだった。

 加藤はフリーだったとはいえ、きちんとボールを叩きつけ、なおかつGK谷の逆を狙ったテクニカルなヘディングだった。何よりその前に、中央やや左から右側ファーサイドに流れて行ったコース取りが秀逸。もちろん、SB山中のクロスもさすがの精度。
 前半に続いて、サイドバックからセンターFWに入れたクロスを頭で決めた得点となった。

 しかしまだアディショナルタイムがあり、ガンバは当然ながら猛攻を仕掛ける。
 セレッソはMF香川に代えてDF進藤を投入し、5バックで守り切る選択をとったが、何度かガンバに好機を作られていた。
 特に95分には、クロスを頭でゴール前へ落とされ、走り込んだFWジェバリが至近距離からシュートを放ったが、GKキム・ジンヒョンが驚異的な反応を見せて左手で弾き、ゴールは許さなかった。

 こうしてアディショナルタイム6分強なんとか耐え抜き、歓喜のタイムアップを迎えた。

 90分を通してセレッソは劣勢にまわる時間が多く、内容的にもガンバのほうが上回っていた。しかし確かにやりたいことは見えているが、誰か一人、何か1つ、足りない要素があって得点に結びつかず、ゲームとしてはセレッソに軍配が上がった形だ。
 対するセレッソは、相変わらず形が見えず、カウンターからしか得点の匂いがしない。せめてセットプレーが期待できれば良いのだが、今節に至ってはコーナーキックさえ0本という有様だった。(ちなみにガンバのCKは9本)
 まあいつも述べている通り、プロは内容より結果が第一だと思っているし、特に今日は大阪ダービーである。何より結果が重要なのは言うまでもない。
 どんな内容であれ、ダービーでの勝利は格別の味である。

選手採点(セレッソのみ)

GK
キム・ジンヒョン 7.0
ハイボールの処理はさすがの安定感。加えてシュートストップも冴え、圧巻は上述した試合終了間際のガンバFWジェバリの至近距離からのシュートを左手1本で防いだプレーだろう。神がかり的な反応である。

DF
松田 陸 6.0 (HT OUT)
あまりクレバーではないプレーも見られたが、先制点のクロスの精度は抜群だった。前半でイエローカードを受けていたこともあって、ハーフタイムでベンチへ下がった。

マテイ・ヨニッチ 6.5
ガンバのビルドアップでは、MFネタ・ラヴィへ入るボールをチェックし、ゴール前ではボックス内で跳ね返し続けた。前節のサンフレッチェ広島のように彼をサイドに釣り出す戦略を、何故かガンバが採ってこなかったことで、彼らしい硬い守りが発揮された。

鳥海 晃司 6.5
立ち上がりから判断も良く、ビルドアップでも相手一人を引きつけてからパスを出すなど、中盤で数的有利を作る原動力になっていた。

山中 亮輔 6.5
やはり終盤の追加点のクロスには脱帽。彼をフリーで蹴らせたら、こうなるという質の高さである。加えて、起点となったボックス内での跳ね返しから、あの位置まで駆け上がっている献身性と走力も、称賛に値するだろう。

MF
毎熊 晟矢 6.0
目立ったシーンは多くなかったが、途中でサイドバックにコンバートする等、チームの総合力向上の一翼を担った。

原川 力 5.5 (68分OUT)
良いプレーも少なくなかったが、ややプレーが軽いと感じた。ベンチに鈴木徳真がいないにもかかわらず早めに交代を告げられたのも、納得の行く采配だった。

奥埜 博亮 6.0
前線で気の利いたボールさばきを見せるなど、効果的なプレーが目についたが、原川がベンチに下がるとともに2ボランチの一角に入り、以後は守備に忙殺され、精彩を欠いた印象が残っている。

為田 大貴 5.0 (60分OUT)
序盤からポジショニングも判断もチグハグで、何となく浮いた存在だった。早めの交代も納得のパフォーマンスである。

香川 真司 6.0 (92分OUT)
トップ下でのキープ力とボールの散らし方はさすがの内容。決定的な仕事は出来なかったが、味方を落ち着かせるプレーも光り、勝利に貢献。

FW
レオ・セアラ 7.0
喉から手が出るほど欲しかった先制点をマーク。個人的には今節は、先制点をとった方が勝利すると予想していたので、本当に嬉しかった。セレッソに来てくれて、心からありがたいと思う。

交代出場
中原 輝 5.0 (HT IN)
色々と物足りない。違いを作れるプレーはなく、効果的にボールにからむシーンも少なかった。

上門 知樹 5.5 (60分IN)
左サイドとしても及第点を与えられるパフォーマンスだった。ただし試合終了間際、ガンバのコーナーキックの場面でGK谷も上がった中、跳ね返しのボールを拾ってGKのいないガンバゴールへ向かったが、何もないところで一人でボールを失ったシーンは頂けない。結果として失点につながらなかったから良かったが、あまりにもお粗末なミスで、猛省を促したい。

加藤 陸次樹 7.0 (68分IN)
言うまでもない決勝点の重み。これぞFWという美しいヘディングだった。

北野 颯太 5.5 (68分IN)
いつも通り何かが足りない北野だった。とはいえ加藤の決勝点には大いに貢献。

進藤 亮佑 ー (92分IN)
出場時間が短く採点なし。

監督
小菊 昭雄 6.0
残留争いを演じているチームに対して、優勢にゲームを進めることさえ出来ず、ボールを握られる時間帯が多かった。しかし繰り返すがダービーは結果こそが必要なので、最低限のタスクはクリアーしてくれて感謝している。采配も、いつもより早めに手を打ったという印象だった。


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