昨年は忘れていたが、旧ブログで年末に投稿していた「今年、本当に買って良かったと思っているアナログLPのTOP5」を2年ぶりにやりたいと思う。
今年リリースされた作品ということではなく、あくまで私が今年購入した中古・新品LPの中でのランキングなので、ご注意いただきたい。
RED/キング・クリムゾン
アーティスト | King Crimson |
タイトル | Red |
カタログNo. | ILPS.9308 |
プレス国 | イギリス |
UKオリジナルである。これは今年買ったLPの中でも、断トツで満足度が高かった。
もともと本作はUSオリジナルも所有していたので、それほど大きな期待はせずに購入したものだが、LPに針を落とした途端に自分好みの音だと分かった。とにかく聴いていて心地よい。
きちんとギターは歪んでいるし、ベースも沈み込んでいるが、決して耳障りではなく、どこか官能的で叙情的。雰囲気も深みもあって、一発で気に入った。
どれほどやかましくてもヘヴィでも、気持ちよく耳に入ってくる稀有なカッティングの1枚である。学生の頃にCDを買って聴き馴染んできたアルバムだが、なお一層、好きになってしまった。
これを聴くと、CDもサブスクもUSオリジナルも、到底聴く気になれない。
STEPPING OUT/ダイアナ・クラール
アーティスト | Diana Krall |
タイトル | Stepping Out |
カタログNo. | JUST 50-1 |
プレス国 | カナダ |
ダイアナ・クラール のデビュー・アルバム。なかなか日本では見つからなかったので、Discogsで米国のセラーから購入した。
デジタル録音された作品をレコードで聴くことにどれだけの意味があるのか分からないが、そうしたアナログだからどうとかではなく、これは単純に中身が素晴らしい。
後の彼女と違ってジャズピアニストとしてスイングしていて、決してボーカル一辺倒ではない。トリオ編成で演奏も大いに堪能できるし、実際にこのデビュー作にはインスト曲も少なくない。
彼女の作品は次作2ndまではジャズしてるので聴き応えがある。出来ればその路線のまま歩んで欲しかったのだが、こればっかりはどうしようもない。
トリオ・バンドやボーカルが嫌いじゃない方は、ぜひ一度聴いてみて欲しい。レコードじゃなくCDでも良いと思うけど。
EXPLORATIONS/ビル・エヴァンス
アーティスト | Bill Evans Trio |
タイトル | Explorations |
カタログNo. | AJAZ 9351 |
プレス国 | アメリカ |
この作品のLPを買うのは3枚目だった。
はじめに買ったのはOJC再発盤。はっきり言ってパッとしない眠たい音だった。音がパッとしないからか、演奏も冴えなく耳に響き、あまり良い作品だとも感じなかった。
次に入手したのは、たまたま見つけたUSオリジナル盤(ステレオ)。目の飛び出るような価格ではなかったので、安くはなかったがエイヤっと試しに買ってみると、これがもうOJC盤とは雲泥の差の鮮度の高い音。エヴァンスのピアノが宙を舞い、ラファロのベースが躍動し、モチアンのドラムが小気味よくスイングする快感。
一聴してオオオッと驚き、こんなに素晴らしい作品だったのかと思い知らされた。「オリジナル盤」の価値を肌で感じた出来事だった。
ただ、高くなかっただけあって、相当チリパチノイズがひどかった。数回クリーニングしたが改善せず、チリチリパチパチする中で何とか演奏を楽しんでいたところ、日課のようにチェックしているHMVオンラインの新入荷中古LPのページで、本作のAnalogue Productions盤が販売されているのを見つけた。しかも45回転の2LPバージョンだ。
これまでアナプロ盤を買って後悔したのは、オスカー・ピーターソン 「We Get Requests」 だけだ。他はすべて満足の行くサウンドばかりで、全幅の信頼をおいている。
価格は約1.5万円と安くはないが、相場から考えると決して高くはない。少しだけ迷ったが、売り切れる可能性も少なくないので、その日のうちにポチった。
で、結果は大正解だった。
盤質は悪くない。ほぼノイズ無しで始めから終わりまで聴くことができる。
音もアナプロらしい濃密感と濃厚さがあり、概ね満足の行く仕上がりだ。何より、夜に小音量で聴いても愉しめる音に仕上げられている。
USオリジナルとどちらが上かと問われれば、逡巡なくUSオリと答えるが、盤質の良いものを入手しようとすると、どえらい金額が必要になる。
本作に関しては、この45回転アナプロ盤でアガリである。
Meets the Rhythm Section/アート・ペッパー
アーティスト | Art Pepper |
タイトル | Art Pepper Meets the Rhythm Section |
カタログNo. | APJ010 |
プレス国 | アメリカ |
これもAnalogue Productions盤。ただしこちらは33回転。
本作ももともとUS盤を持っていた。オリジナルではないがリプレス盤で、かなり良い音だった。
実際、アナプロ盤を購入してから聴き比べとやってみたが、どちらか選べと言われればアナプロ盤が上かなという程度で、もとのUS盤も十分に魅力的な音だった。そもそも作品自体の録音状態が良いということもあるのだろう。
という訳で特にこのアナプロ盤に感動したということではないのだが、ペッパーの官能的なアルトの鳴りを十二分に楽しめるLPであることは間違いない。
ま、こんな名盤、何枚持ってても良いよ。
ANGEL EYES/デイヴ・ブルーベック
アーティスト | The Dave Brubeck Quartet |
タイトル | Angel Eyes |
カタログNo. | CL 2348 |
プレス国 | アメリカ |
これもDiscogsで米国のセラーから購入した1枚。モノラルで、写真のとおりのプロモ盤。
せっかくの美女ジャケに、ラジオ局向けの曲詳細資料がデカデカと貼られていて残念だが、中も白ラベルで、正真正銘のプロモ盤である。
音も、驚くような鮮度の高さではないものの、オリジナル盤らしい軽快さと抜けの良さがある。つまり、聴き疲れしない心地よさに浸れる1枚だ。シンプルに、聴いていて愉しいのである。
本作はサブスクで聴いていて、ステレオに違和感を感じていたので、あえてMONO盤を購入したが、正解だったと思う。
Discogsでは高かったが、このアルバムはUSBオリジナルでも比較的安価に日本で入手できるので、興味のある方は気長に中古LPオンラインショップやヤフオクなどをチェックしてみて欲しい。
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