少し前に本作のUSオリジナル盤4工場分はコンプリートしたが、今回その中の1枚を買い足して、個人的にはコレが一番かなと感じたので、書き記しておこうと思う。
HOTEL CALIFORNIA/EAGLES
アーティスト | The EAGLES |
タイトル | Hotel California |
カタログNo. | 7E-1084 |
プレス国 | アメリカ |
まず大前提として、本作のUSオリジナル規格は「7E-1084」。2ndプレスの「6E-103」をオリジナル盤と勘違いしがちなので、お間違えなきよう。
で、このUSオリジナル「7E-1084」には、プレス工場が4つある。どこでプレスしたかは、センターレーベルに記号が印刷されているので一目瞭然。
- SP(スペシャリティ・レコーズ)
- CSM(サンタ・マリア工場)
- PRC(PRCレコーディング・カンパニー)
- PRCW(PRCレコーディング・カンパニー/コンプトン工場)
この4工場のうち、どれが真のオリジナル・プレスなのかは、恐らく判明していない。だから自分の耳で判定するしかなく、結局のところ買い集めるしかないのだ。
で、私が買い集めて出した結論(というか単なる感想)を述べてみたい。
4枚のUSオリジナル
少し前に4工場分のLPが揃った際に聴き比べた結果は、好みの音から並べると
CSM = PRCW > PRC > SP
という順だった。
つまり「CSM」と「PRCW」が最も好みの音だった。
ただこの2枚も、音の傾向としては違いがある。
「CSM」は音の広がりが感じられ、分離も良く、各楽器のプレイが聴き取りやすい。オーディオ的な音質としては、この「CSM」が最上位。エッジが効いていて、A③「Life is the Fast Line」のような少しハードな曲には、「CSM」が一番だった。
ちなみに「SP」は、この「CSM」に近い傾向の音である。
そして「PRCW」は、「CSM」とは逆にまったり系。でもどこか官能的で、柔らかい音が一体になって耳に心地よく届くような雰囲気。聴覚的に最も美味しい音が前面に出ているような感じだ。
難点としては、A①「Hotel California」における右chのハイハットの音が、少し耳障りに感じたこと。ただ、A②「New Kid in Town」のような穏やかな曲では、「CSM」より「PRCW」のほうが感動的に響く。
当時は、4工場を聴き比べてどれか1枚を残そうと考えていたが、この2枚が甲乙付け難く、結局ほかの2枚を売り払って、「CSM」と「PRCW」だけを手元に残した。
で、つい先日のこと。たまたま本作のUSオリジナルが格安で販売されているところに出くわした。
どの工場のプレスかも分からなかったが、まぁこの値段なら良いかと思い、購入した。結論としては、「PRCW」だった。
よって今は家に、「CSM」が1枚、「PRCW」が2枚あるという状況に。
ところが、である。
この「PRCW」2枚のランアウトを見てみると、新たに購入した盤には両面とも「LH」のサインがある。もともと持っていた「PRCW」盤には、A面にはかすかに「LH」サインらしきものがあるように見えるが、B面には明らかにない。
この「LH」は、カッティング・エンジニアのリー・ハルコ(Lee Hulko)氏のサインである。
では、「LH」のない「PRCW」B面は、リー・ハルコ氏のカッティングではないのだろうか?
真相は知る由もない。が、ただ単に忘れていただけなのではないかという気がする。
ちなみにマスタリング・スタジオを示す「STERLING」刻印は、いずれも盤にもある。
「LH」有無の音質差は?
最後に、この「PRCW」盤の「LH」サイン有りと無しの音の違いについて触れておきたい。
結論から述べると、両面「LH」ありの方がやや音の鮮度が高い。
決して大きな差ではないが、どちらか選べと言われたら、迷うことなく両面「LH」盤をチョイスする。微妙とはいえ、差はある。
ここで、この2枚のマトリクスも一応、記しておこう。
両面「LH」有 | A面 | 7E 1084 A RE -8 PRCW 1 “IS IT SIX O’CLOCK YET? STERLING LH |
〃 | B面 | 7E 1084 B RE -8 PRCW 1̶-1- VI “V.O.L. IS FIVE PIECE LIVE” STERLING LH |
B面「LH」無 | A面 | 7E 1084 A -12 PRCW | LH ”IS IT 6 O’CLOCK YET?” STERLING |
〃 | B面 | 7E 1084 B12 – RE – PRCW 1-6 ”V.O.L. IS FIVE PIECE LIVE” STERLING |
この情報をどう読み解くべきなのか知らないが、なんとなく両面「LH」有りの方がプレスが若いように見える。
つまるところ、リー・ハルコ氏のサインの有無よりも、基本である「MAT1に近い盤を探す」のが正解なのかもしれない。(どの数字をもってマト1と判断するのか、今ひとつ確信はないが。。)
とはいえ、もうこれ以上この盤を買い集めるつもりはない。もう十分に買い集めた。過去に日本盤や近年のリマスター盤も購入したことがあるが、いずれもUSオリジナルを超えるものではなかった。
「HOTEL CALIFORNIA」については、今回のLHサインあり「PRCW」で、「アガリ」にしようと思う。
【2024年12月6日追記】
SNSのThreadsで、「CSM」が初盤だろうとの情報をいただいた。聴いた印象とも合致するので、たぶんそうなのだろうと思う。
Threadsで見る
↓ コメントはこちらへ ↓