これまでこの大名盤のLPは、計8枚購入してきた。その中には高音質をウリにしたAnalogue Productions盤やDCCレーベルのものもあったが、今ひとつ満足がいかず、売買を繰り返してきている。日本盤だけでも、初版と次のリイシュー(ペラジャケ)を含めた3枚を持っていて、いずれも躍動感のある音で悪くはないが、「これでアガリ」と思えるほどではなかった。
しかし今回、新品で購入したLPは、これまでの中でも比較的、満足のいく音質だったので、ご紹介しておこうと思う
SAXOPHONE COLOSSUS/ソニー・ロリンズ
アーティスト | Sonny Rollins |
タイトル | Saxophone Colossus |
カタログNo. | PRS00092 |
プレス国 | アメリカ |
これまで購入したLPのうち、ステレオ盤は2枚。決して悪い音ではなかったが、疑似ステレオらしい不自然な響きが乗っていた。なので今回入手したのはモノラルだ。
カッティングはケヴィン・グレイ。彼の手掛けたLPはたまにハズレはあるが、概ね良質な音が多いと感じている。ただ過去に購入した本作の Analogue Productions盤も彼のカッティングだったものの満足できなかったので、一抹の不安はあったが、今回のはアタリだった。
一聴して良い印象を持ったのは、近年の再発盤らしい重苦しさが薄いこと。
この作品の魅力のひとつとして、ソニー・ロリンズの野太いテナーの音色と同時に、軽快なリズムが挙げられると思う。これが低音増し増しのベースやバスドラでは、グルーブ感が変わってしまう。
このLPに関しても近年のプレス特有の輪郭のはっきりした低音ではあるが、やりすぎない程度で踏みとどまっている。疾走感はギリ、損なわれていないといた感じだ。
結局のところ過去に入手したAnalogue ProductionsやDCC盤は、確かに音質的には優れていたかもしれないが、どうにも聴いていて面白くないのである。分析的とまでは行かないが、音楽的な魅力がやや削がれたような印象だった。
このアルバムは、眉間にシワを寄せて考え込みながら聴くような作品ではないと思っている。自然と身体がリズムをとってしまうような、浮遊感と心地よさのある音が好ましい。
今回のLPが100点満点という訳では決してないが、及第点以上であることは間違いない。
鮮度の劣化は否めないだろうし、USオリジナルとなるとそれはそれは軽妙なリズムと豪快なブロウが味わえるのだろう。でも、もはや雲の上の金額になってしまっているので、今後も耳にする機会はないと思う。
もうこの再発盤で手を打つのが現実的だとは自分でもわかっている。まぁでもどうせまた何かしら買うとは思うが。。
ともかく悪くないプレスだったので、興味のあるかたは新品で買えるうちにご検討されたし。
↓ コメントはこちらへ ↓